2020-01-01から1年間の記事一覧
When I Die, Will I Get Better? by Svalbard ブリストルのSvalbardはこの過去8年の間、ブラック・メタルのメロディックな部分とハードコアのリズム的な破壊感を組み合わせるサウンドを鳴らしてきた:その特徴は美しさと暴虐さによって等しく定義され、抑圧…
HYPE NOSTALGIA by Rituals of Mine 2015年以来、Terra Lopezは感情的に上下の激しい時期を過ごしている。サンディエゴ出身のこのミュージシャンは父親と親友を6ヶ月の間に亡くし、その後に声をなくし、彼女のバンド=Sister Crayonの解散を乗り越えた。そう…
点数:8.7 [Best New Music] 筆者:Matthew Ismael Ruiz Jeff “Chairman” Maoによって行われた2010年のインタビューの中で、Jay Electronicaは自身にまつわる神秘的な雰囲気は混乱のもとであると認めた。「みんながなんでそんな事を言うのかわからない。俺は…
Renegade Breakdown by Marie Davidson & L’Œil Nu 批評的に成功した2018年の『Working Class Woman』に続いて発表した新作『Renegade Breakdown』のタイトル・トラック冒頭でMarie Davidsonはある宣言を行う。「ところで、今回のアルバムには金儲けになるも…
得点:7.6 筆者:Gabriel Szatan 聴いている人たちに打ち勝つよう語りかけ続けた、その闘いに遂にチェスター・ベニントン自身が負けてしまったのは、彼が41歳の時だった。Linkin Parkの音楽を形作る特徴とは、トラウマと向き合っていくための手段をリスナー…
Transmissions: The Music of Beverly Glenn-Copeland by Beverly Glenn-Copeland Beverly Glenn-Copelandの音楽は美しさ、憐み、そして変化というのはいつだって可能であるという信念によって輝いている。彼がたどった道筋は極めて特異である――1970年代にジ…
No era sólida by Lucrecia Dalt コロンビア出身でベルリンで活動するサウンド・アーティスト=Lucrecia Daltがブルックリンのレーベル=RVNG Int'lからの2作目としてリリースしたこのアルバムは何かを解き明かし、そして改める事についての作品である。Dalt…
Shimmer, Then Disappear by Wylie Cable Wylie Cableの8枚目となるアルバム『Shimmer, The Disappear』のライナー・ノートには影響源を付した長いリストが書かれている――その中にはダウンテンポ、ドラムンベース、IDM、ミュージック・コンクレート、そして…
Under by Dyani デトロイトを拠点とするプロデューサーDyaniはそのデビュー・フル・アルバム『Under』において、個人的な癒やし、再生、そして希望に満ちた想像といったコンセプトを、スピリチュアルな浄化において古くから用いられてきた水というモチーフを…
「AREA」を飛び越えた連帯 BLACKPINK IN YOUR AREA. ラッパーが使う「〇〇 in da place to be」「〇〇 in tha house」「〇〇 in tha building」など、「ここに来たぞ!」という意味合いの煽り文句は数多くあるが、韓国の女性4人組グループ・BLACKPINKが用い…
Pathways & Passages by Cosmic Vibrations ft. Dwight Trible シンガー=Dwight Tribleのの豊かでシアトリカルなバリトンはKamasi Washingtonのファンにはよく知られているところである。彼は2015年の『The Epic』とそれに続く2019年の『Heaven and Earth』…
Find The Sun by Deradoorian 元Dirty Projectorsのベーシスト兼ボーカリストだったAngel Deradoorianは、過去5年のあいださまざまな度合いの孤独を探究する中で充実した日々を送っている。2015年に発表した、催眠効果のあるようなソロ・デビュー作『The Exp…
Neurofire by Kingdom 電子音楽のプロデューサーEzra RubinはKingdomという変名とともに、単に大げさなビートに頼るだけではなく、ダンスフロアにエロティシズム、メランコリー、そしてエクスタシーをもたらすことを念頭に置いた新しいアンダーグラウンドR&B…
#KingButch by Butcher Brown このヴァージニア州・リッチモンドを拠点に活動する5人組=Butcher Brownの音楽の根っこにあるのはファンクであるというとき、それは正しくこそあれ、十分ではない。彼らはBiggie SmallsからBob Jamesに至るまで幅広いアーティ…
A Sonic Womb: Live Buchla Performance at Lapsus by Suzanne Ciani Suzanne Cianiが愛してやまないBuchla 200eについて語っているのを聞けば、少し変わった名前の恋人について話しているのだろうと思う人も多いだろう。彼女がアナログ・シンセサイザーの可…
Polysomn by Kairon; IRSE! Kairon; IRSE!ほどに五感を圧倒してくるようなバンドは少ない。フィンランドから現れたこのグループは自分たちの音楽を「サイケデリック・カオス」と称し、万華鏡のようなサイケ・ロックのマキシマリズムを実践している:クラウト…
「あの頃」聴いてた音楽に対するアンビバレントな気持ち 「はじめてちゃんと聴いたんだけど、あんなダサかったんだね(笑)」2019年のフジロック初日、宿に返ってから一緒に行った先輩と話していると、彼はそんな言葉を言い放った。言うまでもなく、ELLEGARDEN…
Vertigo KO by Phew ヒロミ・モリタニは40年近くに渡り、アンダーグラウンドな日本の音楽の中で決定的な道を歩んできた。彼女はAunt Sallyという、サイケデリアやピアノ・ワルツ、ノイズ、あるいはNico風の憂鬱さまでも楽曲に取り込んだ、他のSex Pistolsフ…
Axiom by Christian Scott aTunde Adjuah トランペット奏者/作曲家のChristian Scott aTunde Adjuahの録音作品はその革新性と洗練さで我々を驚かせてくれるが、そこには音楽と聴き手の間に距離を置かせるような、重みのある要素も含まれている。殊更ジャズ…
SONAR by Vritra イングルウッドを拠点として活動するラッパー=Vritraは10年代のはじめ、不作法で、荒々しいほどに成功を収めたOdd Futureコレクティヴの創設メンバーとして知られていた。今では10年以上のソロ・キャリアを持つ彼の最新作『SONAR』では、そ…
Sun Racket by Throwing Muses Throwing Musesの駄作なんてものがあるだろうか?答えはノーだ。「カレッジ・ロック」という物事を単純化するジャンル名の中で最も輝かしくオリジナルなバンドとして40年以上のキャリアを誇るThrowing Musesが、彼らの魅力的な…
Windows Of The Mind by Billy Brooks トランペット奏者=Billy Brooksの名前は音楽史に深く刻み込まれてはいないかもしれないが、彼は1960年代終わりから1970年代はじめのジャズ・ファンクの進化に置いて中心的な役割を果たした。1950年代からセッション・…
Lov3 & L1ght by RUI HO 中国生まれ、ベルリンを拠点に活動するRui Hoは、彼女のミックスや作品の中で聴かれる堂々とした、幻惑的なエレクトロニック・サウンドによって、ポスト・クラブの国際的なコミュニティの中で長く知られている存在である。中国の伝統…
Gold Record by Bill Callahan Bill Callahanは飛行機で旅行することについて2つの素晴らしい楽曲を書いているが――2013年の『Dream River』に収録された ”Small Plane” と、2019年の『Shepherd in a Sheepkin Vest』に収録の ”747” がそれである――、ソングラ…
今年『フリースタイル・ダンジョン』が終了したことに象徴されるように、日本のヒップホップは爆発的なブーム期を終え、若年層にしっかりと浸透した定着期に突入したように感じる。 日々若くてフレッシュなラッパーが世に羽ばたいているが、いかんせんシング…
Behold A Black Wave [PURP004] by Calabashed ロンドンを拠点とするジャズ&ポエトリー・アンサンブルのCalacashedは、MCであり作家であるJoshua Idehen、サックス奏者のAlabaster DePlume、ハープ奏者のMaria Osuchowska、ギタリストのJames Howard、ドラ…
Mama, You Can Bet! by Jyoti 最新作で、Georgia Anne MuldrowはJyotiという名義――故・Alice Coltraneから授けられた名前だという――を用いて、アヴァンギャルド・ソウル〜ジャズをやっている。このアメリカで最も完成されたソウル・アーティストが、その実験…
The Fire Still Burns by Alan Braufman 『The Fire Still Burns』は、遥か過去へと遡るジャズの関係性の燃えさしに、再び火をつける作品である。1974年、サックス奏者Alan Braufman率いるグループがピアニストCooper-Mooreをフィーチャーし、新興レーベルIn…
Sufi Dub Brothers by Ashraf Sharif Khan & Viktor Marek Ashraf Sharif KhanとViktor Marekはもう十年以上に渡って共作を続けているため、2人のサウンドを説明するような別名を持っていてもおかしくなかったのだが、『Sufi Dub Brothers』という今回のアル…
Hazel by Dukes of Chutney Dukes of Chutneyのデビュー作『Hazel』は、まるでLaurel Canyonを経由してBroadcastを呼び出そうとしているかのようだ。このグループは10年代のはじめにサーフィンをしているときに出会ったDustin LynnとJohn Paul Jones IVの二…