週刊音楽時評
「ネオ街風」というキャッチコピーを聴いたとき、正直「またこれか」と思ってしまった。はっぴいえんど直系なんて、2021年に新しくは必要ない。そう思って聴き始めたけれど、想像していた音とは少し違った。ときに峯田和伸のような響きにも聞こえるボーカル…
ラッパーのRussを一言で表すならば、「努力の人」と言うことに尽きるだろう。キャリアの始まりは2011年。思っていたほどの注目を集められなかった彼は、約3年間もの間、SoundCloudで毎週新曲を発表し続けた。そのように、地道に地道にファンベースを広げ続け…
Arcaの「KICK ii」をApple Musicで KICK ii - Album by Arca | Spotify Arcaの「KicK iii」をApple Musicで KicK iii - Album by Arca | Spotify Arcaの「kick iiii」をApple Musicで kick iiii - Album by Arca | Spotify Arcaの「kiCK iiiii」をApple Musi…
RADWIMPSの「FOREVER DAZE」をApple Musicで FOREVER DAZE - Album by RADWIMPS | Spotify RADWIMPS特集の関ジャムを見た。この番組によるとRADWIMPSは「常に最先端」で「韻の踏み方がすごく」て「天才」なのだそうだ。なるほど、テレビって今こんな事になっ…
今年はイギリスのブラック・ミュージック(特にソウル〜R&B)の良作が相次いだ。Arlo Parks、Celeste、Jorja Smith、Ray BLK、Greentea Peng、Jungle、Sault、Cleo Sol、Little Simz…などなど。Black Midi、Dry Cleaning、Black Country, New Road、Squid、I…
コートニー・バーネットの「Things Take Time, Take Time」をApple Musicで Things Take Time, Take Time - Album by Courtney Barnett | Spotify うーん。フジロックで観たときはとにかく超カッコいいロッカー、というイメージだったのだけれどなあ。3作目…
James Blake、Frank Ocean、Bon Iverといったテン年代の巨人たちは、R&B〜ソウルというサウンドをインティー・ロック界に持ち込み、内省の風潮を男性と結びつけ、やがてそれは多くのベッドルーム・アーティストたちを生み出した。人種・ジェンダー・演奏スキ…
エド・シーランの「=」をApple Musicで = - Album by Ed Sheeran | Spotify www.youtube.com 運命的な出会いをした女性との恋路を過剰な演出で描く。エルトン・ジョン風の衣装をまとうシーンも。最後は中世の騎士に変身するも、ヘタレなオレっち、というオチ…
Parquet Courtsの「Sympathy for Life」をApple Musicで Sympathy for Life - Album by Parquet Courts | Spotify 今年日本で劇場公開されたデヴィッド・バーンのライヴ映画『アメリカン・ユートピア』が、音楽映画史に残る大大傑作であったことに異論を唱え…
BLACKSTARKIDSの「Puppies Forever」をApple Musicで Puppies Forever - Album by BLACKSTARKIDS | Spotify BLACKSTARKIDS "Puppies Forever"(2021) Remi Wolf "Juno"(2021) なんだかこの2作は同日にリリースされたということや、"Juno"というタイトル(前者…
ドン・トリヴァーの「Life of a DON」をApple Musicで Life of a DON - Album by Don Toliver | Spotify Don Toliverの名前を初めてきちんと認識したのは、2019年の暮れにリリースされた、Travis Scottが主宰するレーベル=Cactus Jackのローンチ・コンピレ…
スカートの「アナザー・ストーリー」をApple Musicで アナザー・ストーリー - Album by スカート | Spotify 今年で活動開始10周年を迎えた澤部渡のソロ・プロジェクト=スカートが、現在所属しているカクバリズムに加入前に発表していた自主制作の音源『オー…
眉村ちあきの「日本元気女歌手」をApple Musicで 日本元気女歌手 - Album by Chiaki Mayumura | Spotify ゴッドタンに出演し「ゲロ」を題材にした即興ソングを歌ったことで一気にスターダムへの道を歩み始めたシンガー・ソングライター=眉村ちあき。やっぱ…
BTSの「BE」をApple Musicで BE - Album by BTS | Spotify BTSの存在を知ったのはいつだったのか思い出せないが、おそらく『LOVE YOURSELF 轉(Tear)』がビルボードのアルバムチャートで1位を取ったあたりの2018年ごろだったように思う。当時のぼくはといえば…
2チェインズの「So Help Me God!」をApple Musicで So Help Me God! - Album by 2 Chainz | Spotify 今回のレビューを書くまで、2 Chainzというラッパーについて深く考えたことはなかった。…と似たようなことをBig Sean『Detroit 2』評でも書いたが、2 Chain…
Lyric Jonesの「Closer Than They Appear」をApple Musicで Closer Than They Appear - Album by Lyric Jones | Spotify 今年はメインストリームのみならず、アンダーグラウンドで硬派なヒップホップ界隈でも女性ラッパー(非男性ラッパーと言ったほうがいい…
Nothingの「The Great Dismal」をApple Musicで The Great Dismal - Album by Nothing | Spotify Nothingはフィラデルフィアで結成されたシューゲイズ〜ポスト・ハードコア・バンド。しかし中心人物のDominic "Nicky" Palermoが以前にやっていたバンド=Horr…
Sen Morimotoは京都生まれ、マサチューセッツ育ち、シカゴ在住のミュージシャン。最初にジャズとサックスを学んだ後ヒップホップに傾倒し、現在では作品のほぼ全てを自分の演奏で作り上げてしまうマルチ楽器奏者である(「ジャズ・ラッパー」という表記を主…
Black Thoughtは1987年に結成されたヒップホップ・バンド=The Rootsのフロントマン。ドラマーのQuestloveが繰り出す極上のグルーヴに乗っかる彼のラップはそのたぐいまれなライミングのスキルや高度な比喩表現によるボースティングによって「ヒップホップ・…
「AREA」を飛び越えた連帯 BLACKPINK IN YOUR AREA. ラッパーが使う「〇〇 in da place to be」「〇〇 in tha house」「〇〇 in tha building」など、「ここに来たぞ!」という意味合いの煽り文句は数多くあるが、韓国の女性4人組グループ・BLACKPINKが用い…
「あの頃」聴いてた音楽に対するアンビバレントな気持ち 「はじめてちゃんと聴いたんだけど、あんなダサかったんだね(笑)」2019年のフジロック初日、宿に返ってから一緒に行った先輩と話していると、彼はそんな言葉を言い放った。言うまでもなく、ELLEGARDEN…
今年『フリースタイル・ダンジョン』が終了したことに象徴されるように、日本のヒップホップは爆発的なブーム期を終え、若年層にしっかりと浸透した定着期に突入したように感じる。 日々若くてフレッシュなラッパーが世に羽ばたいているが、いかんせんシング…
ダラスの ”Young Legend”、Bobby Sessions Bobby Sessionsはテキサス州ダラス出身のラッパー。2010年代から活動を開始し、決して楽ではない下積み時代を経て2015年に名門レーベルであるDef Jamと契約。そして2018年、今回取り上げる作品がその3作目となる連…
音楽の街、デトロイト デトロイトはアメリカの中西部、カナダとの国境に接するミシガン州最大の都市である。フォード、ゼネラル・モーターズ、クライスラーがかつて本社を置き、「モーター・タウン」として華やいだ。しかしその後人種統合政策の失敗などが重…
ウェールズ出身のプロデューサーのKelly Lee Owens。2017年のデビュー作『Kelly Lee Owens』に続く2作目。もともとXL Recordingsでインターンしていて、そこにデビュー前のThe Xxがいたとか、その後看護師になったのちにミュージシャンに転向したとか、そん…
ストリートからグラミーへ。その波乱の人生 Fantastic NegritoことXavier Amin Dphrepaulezzは1968年生まれの52歳。2016年の『The Last Days of Oakland』、2018年の『Please Don't Be Dead』に続いて、これがこの名義での3作目となる。年齢の割に遅咲きのよ…
さて、始まってしまったこのコーナー。初回ということで、このコーナーは何を目的として、誰のために書かれるものなのかを明らかにしておきたい。 基本的に、これはぼくが「週に1度、音楽についてのまとまった文章を書く」ことを目標に始めた自己中心的な連…