海外音楽評論・論文紹介

音楽に関するレビューや学術論文の和訳、紹介をするブログです。

ポップ

<Pitchfork Sunday Review和訳>Alicia Keys: Songs in A Minor

J • 2001 1998年の夏、アリシア・キーズはすでに彼女のデビュー作『Songs in A Minor』をほぼ完成させていた。しかし彼女が所属するコロンビア・レコードは違う方向性を目指したほうがいいと告げた。そう、彼女はクラシックの教育を受けたピアニストであり、…

<Pitchfork Sunday Review和訳>Anita Baker: Rapture

ELEKTRA • 1986 「クワイエット・ストーム」とは、70年代末期に、小石のようにすべすべとしたR&Bのバラ―ドに対して名付けられたブラック・ラジオ用語である。サブジャンルの名前がそれ自体に最適な文脈を示唆する形で名付けられることは珍しいことだ。アイズ…

<Pitchfork Sunday Review和訳>Katy Parry: Teenage Dream

Capitol / 2010 勝負の時が来たならば、その時が勝負のときである:『Teenage Dream』は終わることのないサマー・バケイションを約束してくれる。それは仮死状態の中で生きていて、常に週末を楽しみにしていて、決して仕事に出かけることなどない。ケイティ…

<Bandcamp Album of the Day>Aaron Lee Tasjan, “Tasjan! Tasjan! Tasjan!”

Tasjan! Tasjan! Tasjan! by Aaron Lee Tasjan セルフタイトルのアルバムには二種類ある。第一に、デビュー作というのがよくある(「自己紹介させてください」というようなもの)。第二にそれとはまったく異なり、もう一度自己紹介をするための手動リセット…

<Pitchfork Sunday Review和訳>Sylvester: Step II

Fantasy / 1978 1986年の大晦日、シルヴェスターは「The Late Show With Joan Rivers」にそびえ立つように高く、オレンジのシャーベット用な色をしたウィッグに、装飾が施されたパンツスーツという姿で登場した。彼の出世作となったシングル、ミラーボール・…

<Pitchfork Sunday Review和訳>Devin the Dude: Just Tryin’ Ta Live

Rap-A-Lot / 2002 Devin Copelandはラップよりもブレイクダンスに熱中していた。テキサスを渡り歩いていた1980年代中盤、彼は目に入ったダンス・クルーであればどのクルーとでも繋がりを持つことが出来た。ありのままの彼自身でいることは、彼が思いつくよう…

<Bandcamp Album of the Day>Luke Titus, “Plasma”

Plasma by Luke Titus Luke Titusは十代の頃からシカゴのヒップホップ、アヴァンギャルド・ジャズのシーンの神童であり、この世のものとは思えないほどのドラムのスキル、そしてNoname、Phoelix、Sen Morimoto、Ravyn Lenaeといったアーティストとの立派な共…

<Bandcamp Album of the Day>Cut Worms, “Nobody Lives Here Anymore”

Nobody Lives Here Anymore by Cut Worms Max Clarkeに拍手を贈ろう。20世紀中盤の陳腐なポップ・バラードに根付いた音楽を、皮肉を込めてやるわけでもなく、NPRによって音楽の趣味が形成されたような人たちをめがけてやるわけでもなく、そういう音楽を作ろ…

<Bandcamp Album of the Day>Ziemba, “True Romantic”

True Romantic by Ziemba 潜在意識の商業化に関するエッセイ ”Dream Kitsch” のなかで、ヴァルター・ベンヤミンは「夢の中で青い花(=ひらめきの元)を目にすることはないのである」と書いている。ロマン主義が資本主義に降伏していく様を見た彼の嘆きは、…

<Bandcamp Album of the Day>Dukes of Chutney, “Hazel”

Hazel by Dukes of Chutney Dukes of Chutneyのデビュー作『Hazel』は、まるでLaurel Canyonを経由してBroadcastを呼び出そうとしているかのようだ。このグループは10年代のはじめにサーフィンをしているときに出会ったDustin LynnとJohn Paul Jones IVの二…

<Bandcamp Album of the Day>Carla J. Easton, “Weirdo”

Weirdo by Carla J. Easton 2016年、当時はEtteという名義で活動していたCarla J. Eastonは『Homemade Lemonade』というアルバムを発表した。ビッグでラウドで、喜びに満ちた楽曲が詰まったこのアルバムは、SladeやThe Sweetの気取ったグラム感と、RobynやCa…

<Bandcamp Album of the Day>Kathleen Edwards, “Total Freedom”

Total Freedom by Kathleen Edwards いつまで続くかわからない封鎖状態に世界全体が陥ったまさにその年に、このカナダ人カントリー・ソングライターが活動を再開したことに、Kathleen Edwardsの長年のファンであればダーク・ユーモアを見出すことができるだ…

<Bandcamp Album of the Day>Sneaks, “Happy Birthday”

Happy Birthday by Sneaks Sneaksとして知られてるワシントンD.C.を拠点とするアーティスト=Eva Moolchanは最新作からのリード・シングル “Mars in Virgo” の中でこう歌っている。“I’ve changed a lot now I’m all grown and I got to grow up some more.(…

<Bandcamp Album of the Day>Salt Cathedral, “Carisma”

CARISMA by Salt Cathedral 2016年、ブルックリンを拠点とするコロンビア人デュオ=Salt Cathedralは単純で、それでいて物事の見方が変わってしまうような重要な気づきを得た:人々はダンスをしたがっている! 当初はNicolas Losadaによる知的でLittle Drago…

<Bandcamp Album of the Day>Various Artists, “Pacific Breeze 2: Japanese City Pop, AOR & Boogie 1972 – 1986”

Pacific Breeze 2: Japanese City Pop, AOR & Boogie 1972-1986 by V/A - Pacific Breeze 2020年にあって、日本のバブル期というのはファンタジーのように思える。1980年代にわたって訪れたその時期の間、この国の経済は高く舞い上がり、歓喜に満ちたムード…

<Bandcamp Album Of The Day>Malena Zavala, “La Yarará”

La Yarará by Malena Zavala ロンドン在住、アルゼンチン出身のMalena Zavalaは2018年の崇高なデビュー・アルバム『Aliso』で自身の生々しい感情をさらけ出した。そして彼女は『La Yarará』において更に深く掘り下げる術を見つけている。クンビア、レゲトン…

<Bandcamp Album Of The Day>Angelica Garcia, “Cha Cha Palace”

Cha Cha Palace by Angelica Garcia Angelica Garciaの新作『Cha Cha Palace』は場所と自信双方に対する肯定である。Garciaの文化的バックグラウンド―メキシコとエルサルバドルの血を引く第1世のアメリカ人―が彼女の作る音楽に反映されている。単に歌詞だけ…

<Bandcamp Album Of The Day>Forever, “Close to the Flame”

forever-apoet.bandcamp.com 『Close to the Flame』は、Foreverという名義でポップ・ミュージックを作っているモントリオールを拠点とするヴォーカリスト・June Moonによる2作目のEPであり、感情を開示した作品である。セルフタイトルのデビュー作から3年経…