<Bandcamp Album of the Day>Alan Braufman, “The Fire Still Burns”
『The Fire Still Burns』は、遥か過去へと遡るジャズの関係性の燃えさしに、再び火をつける作品である。1974年、サックス奏者Alan Braufman率いるグループがピアニストCooper-Mooreをフィーチャーし、新興レーベルIndia Navigationに『Valley of Search』という作品を吹き込んだ。自由表現主義の礼拝のような荘厳で大きな渦巻のようなこのアルバムは2018年のリイシューによって新たなオーディエンスを獲得した。再結成は自然な流れであるように思われた。そしてその結果は焦げ付くほどの成功だった。
BraufmanとCooper-Mooreは新たにJames Brandon Lewis(テナー・サックス)、Ken Filiano(ベース)、Andrew Drury(ドラムス)を迎え、『The Fire Still Burns』はヴァイナル2面にわたってスピリチュアルな組曲を展開していく(最後の ”City Nights” がちょっとファンキーなコーダの役割を果たしている)。Braufmanのアンセミックで高揚感があり、勝ち誇るような作曲はそれぞれのプレイヤーに自己主張の機会をしっかりとあたえている。”Sunrise”、”Home”、”Cration” はJohn ColtraneやDon Cherryの伝統を継ぎ、”No Floor No Ceiling” はOrnette Coleman風の焦げ付くような一陣の突風である。タイトル曲には不屈のブラザーフッドの感覚があり、”Alone Again” は若かりし頃の豊かさを、遠くから聞こえるようなプロト・ロック風のエコーで聴かせる(Braufmanは80年代にPsychedelic Fursとツアーした経験を持つ)。
BraufmanとCooper-Mooreの長年に渡る遠距離の友情によってもたらされたこの『The Fire Still Burns』の有機的な形式はまったくもって刺激的である。Braufmanの演奏には情熱があり、Cooper-Mooreの発明的なプレイは何度もくり返し聞くことを求めている。思わず次の「火」を期待せずにはいられないだろう。
By Richard Gehr · August 28, 2020