Weekly Music Review #68: Arca『KICK ii』『KicK iii』『kick iiii』『kiCK iiiii』
KICK ii - Album by Arca | Spotify
KicK iii - Album by Arca | Spotify
kick iiii - Album by Arca | Spotify
Arcaの「kiCK iiiii」をApple Musicで
kiCK iiiii - Album by Arca | Spotify
“For me, it’s important not to be a snapshot of one of my backgrounds, but to be able to map all of those things,” she said. “To let those differences be. And not feel ashamed of them.”
「私にとって、自分のバックグラウンドのある一部分のスナップショットになることは重要ではなくて、そのすべてを描き出すことこそが大事なのです。すべての違いをありのままにすること。そしてそれを恥ずかしがらないことが」New York Timesのインタヴューより
なるほど、それでは4日連続で4枚のアルバムをリリースするのも仕方ない。
「visionary」という言葉がある。
①明確なビジョンを持った人、洞察力[先見の明]のある人
②空想家、夢想家
③予言者、幻視者
というような意味だが、よくアーティストを表す際に使われる表現だ。
SOPHIEの訃報の際にはよくこの言葉を目にした。思えばこれは今年の頭だったか…。
そしてArcaのことを指して「visionary」と使われるケースも多い。
そう、彼女の音楽は一貫して未来を指向するものだ。
しかしその未来は、「ハイテク」だとか「多様性を認める」だとか、そんな薄っぺらく現実から「剥離」された言葉で表されるようなものではなく、しっかりと現実と地続きでありながら、我々のたどる道筋が音となって我々の目の前に現れる。
そこには黙示録があり、救済があり、絶望があり、希望があり、悲しみがあり、喜びがあり、男性性の解体があり、傷があり、回復があり、怒りがあり、自信があり、不安や恐怖があり、無機質があり、有機性があり、停滞があり、前進があり、分断があり、連帯があり、最終的には明日もなんとかやっていける程度の活力をもらえる。
また、「visionary」というだけあって、一つひとつの音・楽曲が視覚的なのだ。音が紡ぐストーリーが映像的、みたいな話じゃなくて、音そのものがなんか「見えるっぽい」というか。百聞は一見にしかず、の一見の部分を音で作れてしまう人というか…。
みたいな話でお茶を濁させてください!忙しくてなんにも書けなかった!!!!!!