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<Bandcamp Album of the Day>Christian Scott aTunde Adjuah, “Axiom”

トランペット奏者/作曲家のChristian Scott aTunde Adjuahの録音作品はその革新性と洗練さで我々を驚かせてくれるが、そこには音楽と聴き手の間に距離を置かせるような、重みのある要素も含まれている。殊更ジャズにおけるライブ・アルバムは、そういった「第4の壁」を取り去ってしまうもののことだ。そしてこの『Axiom』ほど、そういった破壊装置を持っているものはそうそう多くはない。

Adjuahのセプテットも彼らの鳴らす音楽も、この3月中旬のニューヨークのブルーノートパンデミックによって街が閉じる直前)においてダイレクトに、一滴の希釈もされていないように響く。“The Last Chieftain” におけるLawrence Fieldsのピアノや、“Diaspora” でのElena Pinderhughesのフルートのような最も優しいパートでさえ、ある種の驚くべき切迫感が感じられる。つまり、アグレッシヴなポイント––AdjuahとベーシストのKris Funnによるエコーの効いたファンク “Guinnevere”、“West of the West”でのAlex Hanの叫ぶようなアルト、Weedie BraimahとCorey Fonvilleが “I Own the Night” で鳴らす倉庫1軒分もあろうかという打楽器––は、良い意味で兵器のようなのである。しかし、『Axiom』はエナジー一辺倒なわけではわけではない: 極めて意味深長でもあるのだ。Adjuahの音楽はアフリカン・アメリカンとしての苦しみと快楽を両方描いていて、しかしながらその中にはすべからくペーソスが通底しているのだ。この夜において、その通底は感情が加速するための滑走路の役割を果たしている。

バンドはこれが最後のコンサートになることをしらなかった。彼らにとっても他の誰にとっても、その先を予見することは不可能だったからだ。でも彼らはパンデミックについて認識はしていたし(「別に避けるわけじゃないけども、手はしっかり洗うように」とAdjuahはセットの最初に述べている)、それによって演奏にも熱が入っていたのかもしれない。COVID-19とそれに続いた無力感は、今に至るまでオーディエンスとパフォーマーの間に壁を築いたままである。しかし『Axiom』はその壁の向こうで待っている電撃の、鋭くも今必要とされている衝撃を我々にもたらしてくれる。

By Michael J. West · September 03, 2020

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