オルタナティヴ
Фантомные Чувства by Ploho ロシアのバンドPlohoの最新作『Фантомные Чувства』は、英語で“phantom feelings(=“幻の感覚”)” を意味する。作品に相応しいタイトルである:このシベリアに拠点を置くバンドは、メランコリーの香りのするクラブ・ミュージッ…
Palberta5000 by Palberta 準アンダーグラウンド・レーベル=Feeding Tubeからの初期のリリースの時点から、ニューヨークのアートスクールで結成されたパンク・トリオ=Palbertaの楽曲は縫い目から裂けていくようでありながらも、はっとさせるような斜に構え…
Mountains (20th Anniversary Expanded Edition) by Mary Timony Mary Timonyのファースト・ソロ作がリイシューされるのにこれほど適した時機はなかったかもしれない。最初のリリースから20年がたち、『Mountains』は隔離され鬱屈した世界の中で、接続と交わ…
Going to Hell by Lande Hekt 「私はこれまで他人のために生きてきた/それはいい意味でではなく、本当にクソみたいな意味で」Lande Hektはこの『Going to Hell』のタイトル曲でこう歌っている。この曲はカトリック教会がLGBTQの人々の受け入れを拒否したこ…
No Moon by Black Wing Dan Barrettが作るものにはすべて暗闇が付きまとう。コネチカット出身のこのミュージシャン/ソングライターはこれまで、デュオ=Have A Nice Lifeの片割れとしてシューゲイズとポスト・パンクの陰鬱な深淵を掘り進め、ソロ・プロジェ…
No Cover: A Carpark Covers Comp by Carpark Records 1999年に設立されたニューヨークのレーベル=Carparkはエクスペリメンタル/インテリジェント・エレクトロニック・ミュージックのシーンの前線となり、Kid606やCasino Versus Japanといったアーティスト…
LateNightTales: Khruangbin by Khruangbin Khruangbinが作家A. W. Wildeによるアーティストのキュレーションによるコンピレーション・シリーズ『Late Night Tales』に参加したこの作品は、世界中への旅の口頭伝承である。その始まりと終わりはこのエクスペ…
I'll Probably Be Asleep by Hachiku オーストラリアのバンド=Hachikuは2017年にセルフ・タイトルEPでデビューした。きらめくようなインディー・ロックの雰囲気と内省的な歌詞に、バンドのサウンドもマッチしていた。そしてリリースされた1枚目のフル・アル…
Honey Badger by Dorcha UKはバーミンガムのグループ=Dorchaはその名前をスコットランド・ゲール語で「ダークな、うす暗い、不可解な」などの意味を持つ多義語からとっている。『Honey Badger』を通じて多くの場面で、Dorchaはこれら3つの定義と合致してい…
Cheater by Pom Poko Pom Pokoの音楽には爆発的な優しさがある。それはまるでPeepを電子レンジに入れるかのようだ。2019年のデビュー作『Birthday』で、このノルウェーのグループはパンチのあるノイズ・ポップと失恋についての歌詞、そして元気いっぱいなボ…
PERFUMES AND FRIPPERIES by The Wake 80年代のポスト・パンク・バンドにはThe Wakeという名前のバンドが2組いるということは興味深いが、今回扱うのはオハイオ州コロンバスのバンドであり、イギリスのバンドの方ではない(でもこっちも聴く価値あり)。アメ…
Don't Shy Away by LOMA Lomaはセルフ・タイトルのデビュー作をリリースしたあと少しドタバタが続いた。この靄がかったようなドリーム・ポップを奏でる三人組は2016年、シンガーのEmily Crossとマルチ奏者のDan Duszynski(当時はCross Recordという名前で活…
Nereïd by Rïcïnn フランスのアーティスト=Laure Le Prunenecは伝統に縛られることを拒絶する。彼女は2016年のインタヴューでこう語っている。「私はいつも自分の声を使って実験をしている。それはジャンルを問わない。ジャズから電子音楽まで、そこには今…
Auto by Wendy Eisenberg Wendy Eisenbergというギタリストの名前は数多くの文脈で出現するため、読者の中にもその中の一つによって知っているかもしれない。かの悪党ロック・バンド=Birthing Hips(2017年の名作『Urge to Merge』を残して解散)の中心をな…
Nobody Lives Here Anymore by Cut Worms Max Clarkeに拍手を贈ろう。20世紀中盤の陳腐なポップ・バラードに根付いた音楽を、皮肉を込めてやるわけでもなく、NPRによって音楽の趣味が形成されたような人たちをめがけてやるわけでもなく、そういう音楽を作ろ…
Renegade Breakdown by Marie Davidson & L’Œil Nu 批評的に成功した2018年の『Working Class Woman』に続いて発表した新作『Renegade Breakdown』のタイトル・トラック冒頭でMarie Davidsonはある宣言を行う。「ところで、今回のアルバムには金儲けになるも…
Find The Sun by Deradoorian 元Dirty Projectorsのベーシスト兼ボーカリストだったAngel Deradoorianは、過去5年のあいださまざまな度合いの孤独を探究する中で充実した日々を送っている。2015年に発表した、催眠効果のあるようなソロ・デビュー作『The Exp…
Polysomn by Kairon; IRSE! Kairon; IRSE!ほどに五感を圧倒してくるようなバンドは少ない。フィンランドから現れたこのグループは自分たちの音楽を「サイケデリック・カオス」と称し、万華鏡のようなサイケ・ロックのマキシマリズムを実践している:クラウト…
Sun Racket by Throwing Muses Throwing Musesの駄作なんてものがあるだろうか?答えはノーだ。「カレッジ・ロック」という物事を単純化するジャンル名の中で最も輝かしくオリジナルなバンドとして40年以上のキャリアを誇るThrowing Musesが、彼らの魅力的な…
Gold Record by Bill Callahan Bill Callahanは飛行機で旅行することについて2つの素晴らしい楽曲を書いているが――2013年の『Dream River』に収録された ”Small Plane” と、2019年の『Shepherd in a Sheepkin Vest』に収録の ”747” がそれである――、ソングラ…
LiteAce Frequency by Vex Ruffin カリフォルニアに拠点を置くVex Ruffinの前作『Conveyor』(2017)は、彼が空港でUPSの職員として深夜〜早朝のシフト勤務を行った経験にインスパイアされたものだった。陰鬱で、インダストリアル風のリズムはその仕事の、永…
Motherhood by No Joy No Joyの『Motherhood』には90年代後期の夢が息づいている。この、Jasamine White-Glutz率いるモントリオールを拠点とするプロジェクトは、この5年ぶりとなる新作で驚くような新しいサウンドを持って生まれ変わった。No Joyが2010年に…
Laughing In My Sleep by The Cradle Paco Cathcartはとてもブルックリン的な人物である。2012年以来、彼はThe Cradleという名義で30以上のプロジェクトをブルックリン市内のホーム・スタジオで――ある時はただの家で――レコーディングし、ほかの地元アーティ…
7G by A. G. Cook PC Musicの長であり、Charli XCXのクリエイティヴ・ディレクターでもあるA. G. Cookは2020年5月19日、Potor Robinsonが主催したSecret Skyフェスティヴァルにおいて「アコースティックEDM」セットを披露した。Cookはアコースティックギター…
New Truth by Jenny O. L.A.のシンガー・ソングライター、Jenny O.は、最新作『New Truth』の中で、ものを整理整頓することに慰めを見出している。“There’s a name for this, I’m sure/ Always pacing ‘round in revelation/ Repositioning the plants and p…
Eight Gates by Jason Molina アーティストの死後に発表される音源集で一貫性のあるアルバムを作るのは難しいことだ。パフォーマーのアーカイヴを掘り起こし、未完成の音源を取り上げて意図されて作られた作品の一部のように編曲を施す作業はまるで個人を侵…
To Be Surrounded By Beautiful, Curious, Breathing, Laughing Flesh Is Enough by Deerhoof 先駆者であるYo La Tengoと同じように、Deerhoofはあまりにも長い間いい作品を作り、いろんなことに関心を持っているために、その存在を当たり前に思ってしまいそ…
Songs for Peacock by TJO Tara Jane O'Neilの「省略の美学」によるギターの抽象化の長年のファンであろうが、今日まで彼女の名前を聞いたことがなかろうが、『Songs for Peacock』に現れる数少ない音のそれぞれを認知するのには数秒もかからないだろう。O'N…
UNTITLED (Black Is) by SAULT 1965年、マルコムXの暗殺事件を受けて、詩人・オーガナイザー・文化評論家であるAmiri Barakaはアメリカ黒人の義憤を結晶化し "Black Art" という詩を書いた。後の文化の礎となったこの詩の中でBarakaは主に黒人解放のために使…
Somewhere by Gum Country ギター・ロックがウロボロスであるならば、我々は今、2010年代初頭のガレージ・シーンの残骸をたらふく平らげたところである。どのバンドもリヴァーヴのプールで飛沫を上げ、Burger Recordsからテープを出すのが楽しかったのんきな…