<Bandcamp Album of the Day>Calabashed, “Behold a Black Wave”
ロンドンを拠点とするジャズ&ポエトリー・アンサンブルのCalacashedは、MCであり作家であるJoshua Idehen、サックス奏者のAlabaster DePlume、ハープ奏者のMaria Osuchowska、ギタリストのJames Howard、ドラムスのDonna Thompson、そしてテープとFXを担当するRaimund Wongによって構成されている。彼らのデビューEP『Behold a Black Wave』は何かを呼び起こすかのような聴取体験であり、それは現在作られている他のどんな音楽にも似ていない。
『Behold a Black Wave』は柔らかなオプティミズムについての覚書 ”Ode (Prelude)” で幕を開ける。Osuchowkaのハープが、名状しがたい鳥の鳴き声やDePlumeの一掃するようなサックスに対置される。”Ode To Jazzman John Clarke” でトーンが変わり、より仄暗く、うやうやしい音色を響かせる。つい最近亡くなった英国の詩人に捧げられた目が覚めるようなトリビュートであるこの曲は、トレモロ・ギター、言葉にならないヴォーカル、そしてモリコーネ風の笛によって孤独で、ウェスタンな感覚を帯びている。Idehenのリッチで手触りのある声が、音風景を発話/歌唱が混じった再生と回復についての宣言で埋め尽くしていく。この曲はIdehenの絶望的な反復「私は自分の悲しみを拾い上げ、新たな賛美歌を作った」を中心に回転していく。
”All of The Lights” はDePlumeの長く、壊れそうな孤独の演奏で始まる。ほどなくIdehenが加わり、彼の声が捻じ曲げられ、ピッチを変えられていく一方でOsuchowkaのハープが隙間を埋めていく。他のアルバム収録曲と同じく、”All of The Lights” は奇怪で、我々の魂を撹拌する。Calabashedが何から影響を受けているにしろ、彼らはそれらを唯一無二の総体の中に統合してしまっている。ヒップホップやジャズ・ポエトリー、前衛音楽などの匂いがかすかにするこの『Behold a Black Wave』は驚くべき深さと力を持ったデビュー作である。
By John Morrison · September 01, 2020