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Weekly Music Review #67: RADWIMPS『FOREVER DAZE』

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RADWIMPSの「FOREVER DAZE」をApple Musicで

FOREVER DAZE - Album by RADWIMPS | Spotify

RADWIMPS特集の関ジャムを見た。この番組によるとRADWIMPSは「常に最先端」で「韻の踏み方がすごく」て「天才」なのだそうだ。なるほど、テレビって今こんな事になっているんだな、とひどく納得した。「前前前世」のヒットで一気に知られる存在に、みたいな紹介のされ方もしていた。

君の名は。」の大ヒット
が起こるとすかさず出てくるゲスなやつ
ぽっと出で出てきたわけじゃねえ
こちとらメジャーで10余年
「パパラッチ(PAPARAZZI)〜*この物語はフィクションです〜」より

って言ってた野田洋次郎も、しっかり「テレビ」的なインタビューに嬉々として答えていた。それがワイプの関ジャニ達のリアクションによって「天才」であるかのように番組が出来上がっていた。大したものだ。なんだか、ものすごい「虚」の中にあるものしかテレビには映らないんじゃないか、そんな気がした。ただここ数年でその手段は巧妙化していて、テレビの権力が凋落してきたことを逆手に取って(もはやテレビの「ゴリ押し」では流行は生まれない)、「あなたは知らないかもしれないですが、ネットの世界では/若者の間では/海外では/こんなものが流行ってるんです!」みたいな形式で別にさして新しくもないものを取り上げる、みたいなものが増えたような気がする。似非サブカルの時代、到来である。RADWIMPSが新しいものとして紹介される2021年、それは世間の怠慢が生んだ地獄である。まあ、怠慢と言って責めてはいけない。もはや「世間」は文化・芸術への興味を失って久しい。RADWIMPSくらいが丁度いいか、歌詞も馬鹿みたいにわかりやすいしな。そのバカみたいにわかりやすい歌詞の「考察」とかを読んで興奮してるんだもんな。丁度いいね。前言撤回、RADWIMPSが流行る2021年、丁度いい。そうだね、RADWIMPSに時代が追いついたね。すごいすごい。

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これとかも丁度いいね。「SNSでの匿名でのアンチコメント、よくないよね〜」って2021年に言う感じ、丁度いい。それを「これだけ売れていてもこういうとがった曲出してくるの好き」とか言われるの、めっちゃ丁度いいコメント欄。「何か言う前に自分がどんだけのことやってんの?」っていうwhataboutism、ネオリベ感あふれる感じの歌詞、丁度いいね。ひろゆきみたいじゃん。ひろゆき野田洋次郎の対談、どうすか?そのくせしらっと4行くらい政治のこと言ってみたり(彼は文句を言ってもいいらしい)、丁度いいね。

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丁度いい〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!出ました、「前前前世」産業ロック。丁度いい。「マジ歌選手権」で、明らかに元ネタがある曲なんだけど、それをそのまま使うわけにも行かないから作られた「ぽい曲」みたいで丁度いい。

こんな丁度いいバンド、もっと売れなきゃおかしくないですか?これからの快進撃にも期待ですね!!!!