海外音楽評論・論文紹介

音楽に関するレビューや学術論文の和訳、紹介をするブログです。

エレクトロニック

<Pitchfork Sunday Review和訳>Yellow Magic Orchestra: BGM

ALFA・1981 日本式のアクロニムで、「BGM」とは「バックグラウンド・ミュージック」を意味する。それはYellow Magic Orchestraの細野晴臣の80年代の至福のアンビエント作品を想起させる。どこか牧歌的で、ヒップでマスマーケット的な衣料店から流れてくるよ…

<Bandcamp Album of the Day>Sun Kin, “After the House”

After the House by Sun Kin ロサンゼルスを拠点とするエレクトロニック・ミュージック・プロデューサー=Kabir Kumarが作る音楽はどこか儚さを感じさせる。常にベッドルーム・ポップやサイケデリック・フォーク、ディスコ、ハウスと言ったジャンルを横断し…

<Bandcamp Album of the Day>Erang, “Imagination Never Fails”

Imagination Never Fails by Erang この『Imagination Never Fails』のジャケットを見れば、これは『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』のPanos Cosmatos監督によるB級映画のサントラであるように見えるかも知れない。この真紅でサイケデリックな過剰感の…

<Bandcamp Album of the Day>E-Saggila, “Corporate Cross”

Corporate Cross by E-Saggila 『Anima Bulldozer』の野性味あふれるビートによって高いハードルを設定したRita Mikhael(またの名をE-Saggila)は、Hospital Productionsからの初のLPとなるこの作品でそれを見事にクリアすることでこの2020年を終えようとし…

<Bandcamp Album of the Day>DJ Earl, “Bass + Funk & Soul”

[MTXLT190] BASS + FUNK & SOUL by DJ EARL デトロイト、メンフィス、フィラデルフィア、そしてアトランタといった他のアメリカの大都市と同じように、シカゴの歴史とアイデンティティもまた、そこに暮らす黒人労働者階級の住民たちの音楽と切っても切り離せ…

<Bandcamp Album of the Day>DJ Earl, “Bass + Funk & Soul”

[MTXLT190] BASS + FUNK & SOUL by DJ EARL デトロイト、メンフィス、フィラデルフィア、そしてアトランタといった他のアメリカの大都市と同じように、シカゴの歴史とアイデンティティもまた、そこに暮らす黒人労働者階級の住民たちの音楽と切っても切り離せ…

<Bandcamp Album of the Day>Cabaret Voltaire, “Shadow of Fear”

Shadow of Fear by Cabaret Voltaire なぜ2020年にもなってスピーカーからCabareit Voltaireの新作――実に26年ぶりだ――が流れているのか不思議に思っている人たちへの答えは、作品のタイトルそのものにある:『Shadow of Fear(恐怖の影)』。今の私たちの集…

<Bandcamp Album of the Day>Xyla, “Ways”

Ways by Xyla デビューアルバム『Ways』において、サンフランシスコを拠点とする、クラシック音楽家から転身したエレクトロニック・ミュージック・プロデューサー=Xylaは蛇のように曲がりくねったサウンドスケープを作り上げ、リスナーを平凡な日常から連れ…

<Bandcamp Album of the Day>Penny Penny, “Yogo Yogo”

Yogo Yogo by Penny Penny 『Yogo Yogo』はPenny Pennyの出世作であり、彼の南アフリカ随一の名士という地位を確立した。1996年に8日間という短さで録音されたこのダンス・レコードは、この国が比較的新しい政治的な自由を謳歌している中で制作された:アパ…

<Bandcamp Album of the Day>Loraine James, “Nothing”

Nothing EP by Loraine James ロンドン生まれのプロデューサー=Loraine Jamesはプログレッシヴな電子音楽の世界において強力な新生である。彼女の最新EP『Nothing』は2019年のHyperdubからのデビュー作にして、想像力豊かなスタイルの融合を通じてクィアな…

<Bandcamp Album of the Day>Beverly Glenn-Copeland, “Transmissions”

Transmissions: The Music of Beverly Glenn-Copeland by Beverly Glenn-Copeland Beverly Glenn-Copelandの音楽は美しさ、憐み、そして変化というのはいつだって可能であるという信念によって輝いている。彼がたどった道筋は極めて特異である――1970年代にジ…

<Bandcamp Album of the Day>Lucrecia Dalt, “No era sólida”

No era sólida by Lucrecia Dalt コロンビア出身でベルリンで活動するサウンド・アーティスト=Lucrecia Daltがブルックリンのレーベル=RVNG Int'lからの2作目としてリリースしたこのアルバムは何かを解き明かし、そして改める事についての作品である。Dalt…

<Bandcamp Album of the Day>Wylie Cable, “Shimmer, Then Disappear”

Shimmer, Then Disappear by Wylie Cable Wylie Cableの8枚目となるアルバム『Shimmer, The Disappear』のライナー・ノートには影響源を付した長いリストが書かれている――その中にはダウンテンポ、ドラムンベース、IDM、ミュージック・コンクレート、そして…

<Bandcamp Album of the Day>Dyani, “Under”

Under by Dyani デトロイトを拠点とするプロデューサーDyaniはそのデビュー・フル・アルバム『Under』において、個人的な癒やし、再生、そして希望に満ちた想像といったコンセプトを、スピリチュアルな浄化において古くから用いられてきた水というモチーフを…

<Bandcamp Album of the Day>Kingdom, “Neurofire”

Neurofire by Kingdom 電子音楽のプロデューサーEzra RubinはKingdomという変名とともに、単に大げさなビートに頼るだけではなく、ダンスフロアにエロティシズム、メランコリー、そしてエクスタシーをもたらすことを念頭に置いた新しいアンダーグラウンドR&B…

<Bandcamp Album of the Day>Suzanne Ciani, “A Sonic Womb: Live Buchla Performance at Lapsus”

A Sonic Womb: Live Buchla Performance at Lapsus by Suzanne Ciani Suzanne Cianiが愛してやまないBuchla 200eについて語っているのを聞けば、少し変わった名前の恋人について話しているのだろうと思う人も多いだろう。彼女がアナログ・シンセサイザーの可…

<Bandcamp Album of the Day>Rui Ho, “Lov3 & L1ght”

Lov3 & L1ght by RUI HO 中国生まれ、ベルリンを拠点に活動するRui Hoは、彼女のミックスや作品の中で聴かれる堂々とした、幻惑的なエレクトロニック・サウンドによって、ポスト・クラブの国際的なコミュニティの中で長く知られている存在である。中国の伝統…

<Bandcamp Album of the Day>Ashraf Sharif Khan & Viktor Marek, “Sufi Dub Brothers”

Sufi Dub Brothers by Ashraf Sharif Khan & Viktor Marek Ashraf Sharif KhanとViktor Marekはもう十年以上に渡って共作を続けているため、2人のサウンドを説明するような別名を持っていてもおかしくなかったのだが、『Sufi Dub Brothers』という今回のアル…

<Bandcamp Album of the Day>Abyss X, “Innuendo”

INNUENDO by Abyss X クレタ島出身のプロデューサーでシンガーでもあるAbyss Xは、このデビュー・フル・アルバム『INNUENDO』において、一連のダークで、断片のようなランドスケープの上にその堂々とした弾性のあるヴォーカルを塗りつけている。彼女はこれま…

<Bandcamp Album of the Day>God Colony, “CULT”

CULT by God Colony 理論上、“Paper” の楽曲のアイデアはうまくいきそうもないものだ:ディストーション、フィードバック、歓喜の声、口笛、めまいがするようなパーカッションの連隊による歪んだスウィングが貼り付けられたピリッとするコルクボードであり、…

<Bandcamp Album of the Day>Foul Play, “Origins”

Origins by Foul Play UKハードコアはそのにこやかなアプローチが人気のシーンである。ハイエナジーなブレイクビーツ、ピッチの上げられたヴォーカル・サンプル、逆上したシンセの刺すような音色、そしてコポコポと音を立てるベースライン。これら全てがだだ…

<Bandcamp Album of the Day>Pantayo, “Pantayo”

Pantayo by Pantayo “bahala na”というのは、宿命論者でありながら楽観主義者でもあるというフィリピン人の性格を表したものである。人生に起こることは何であれどうにかすることができる。それが神的なものによる干渉であるときもあれば、その人の持ってい…

<Bandcamp Album of the Day>TALSounds, “Acquiesce”

Acquiesce by TALsounds Natalie ChamiがTALsoundsとしてリリースした最新作のジャケットにはマットレスの端が写された、無味乾燥な写真があしらわれている。ベッドには枕が置かれていて、その隣に置かれたナイトスタンドの上にはおばあちゃんの家においてあ…

<Bandcamp Album of the Day>Black Taffy, “Opal Wand”

Opal Wand by Black Taffy Donovan JonesはBlack Taffyとしてビート・ミュージックを作り始める前、This Will Destroy Youというポスト・ロック・バンドでキーボードとベースを弾いていた。現在はLAの名高いLEAVING Recordsと結びつき、ダラスを拠点とするこ…

<Bandcamp Album of the Day>recovery girl, “recovery girl”

recovery girl (Deluxe Edition) by recovery girl Galen Tiptonの最新リリースはアーケード・ゲーム愛好家なら誰しもがおなじみのあの質問から始まる。「コンティニュー?」このオハイオのプロデューサーは感情を転覆させる。ヴィデオ・ゲームでは終わりを…

<Bandcamp Album Of The Day>Various Artists, “Isolation Therapy”

Isolation Therapy by Stamp The Wax Stamp the Wax Recordsの新作コンピレーション『Isolation Therapy』は新型コロナウイルスのパンデミックが全世界的に広がっていく中3日間で編纂されたものである。フィーチャーされている音楽の質、そして出現したスピ…

<Bandcamp Album Of The Day>Dana Jean Phoenix & Powernerd, “Megawave”

Megawave by Dana Jean Phoenix & Powernerd トロントのシンセ妖婦・Dana Jean Phoenixとウィーンを拠点とするバンド・Powernerdは『Megawave』で結託し、それぞれの武器庫に格納されていた妙技を全て解き放っている。長いフィルター・スウィープ、図太い方…

<Bandcamp Album Of The Day>Angel-Ho, “Woman Call”

Woman Call by Angel-Ho Angel-Hoの2作目『Woman Call』は彼女のこれまでで最も強力なポップ・ステートメントであり、そのサウンドは彼女の特徴である行き過ぎた実験的要素を保ちながら、推進力のあるビートまで削ぎ落とされている。彼女はハウス、ダンス、…

<Bandcamp Album Of The Day>Thundercat, “It Is What It Is”

It Is What It Is by Thundercat Thundercatの音楽は美しいまでにぶっ飛んでいる。それはPファンク、R&B、LA産のエレクトロニック・ミュージック、そしてロックが融合したJaco Pastorius風の先進的なジャズ・フュージョンである。彼は考えられないほどのスピ…

<Bandcamp Album Of The Day>Mr. Scruff, “DJ​-​Kicks: Mr. Scruff”

DJ-Kicks: Mr. Scruff by Mr. Scruff Fuseによるオンライン・シリーズ「Crate Diggers」のエピソードの中で、Mr. Scruffは「僕がプレイする―厳密にはミックスしているわけだけど―レコードはどれもそれ自体優れている。あまり手を加える必要はないんだ」と語…