2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧
Laughing In My Sleep by The Cradle Paco Cathcartはとてもブルックリン的な人物である。2012年以来、彼はThe Cradleという名義で30以上のプロジェクトをブルックリン市内のホーム・スタジオで――ある時はただの家で――レコーディングし、ほかの地元アーティ…
ストリートからグラミーへ。その波乱の人生 Fantastic NegritoことXavier Amin Dphrepaulezzは1968年生まれの52歳。2016年の『The Last Days of Oakland』、2018年の『Please Don't Be Dead』に続いて、これがこの名義での3作目となる。年齢の割に遅咲きのよ…
Unity by Gordon Koang 2013年、南スーダンでは2つの有力な部族、ディンカとヌアーの間に紛争が勃発した。この戦争は今年の2月に終結したが、それまでにおよそ40万人が死亡し200万人以上が難民となった。ヌアー族のベテラン・ポップ・スターであるGordon Koa…
7G by A. G. Cook PC Musicの長であり、Charli XCXのクリエイティヴ・ディレクターでもあるA. G. Cookは2020年5月19日、Potor Robinsonが主催したSecret Skyフェスティヴァルにおいて「アコースティックEDM」セットを披露した。Cookはアコースティックギター…
New Truth by Jenny O. L.A.のシンガー・ソングライター、Jenny O.は、最新作『New Truth』の中で、ものを整理整頓することに慰めを見出している。“There’s a name for this, I’m sure/ Always pacing ‘round in revelation/ Repositioning the plants and p…
Help by Duval Timothy ロンドン生まれのピアニストであり、マルチな領域で活躍するアーティスト=Duval Timothyによる最新作『Help』はジャズとコンテンポラリー・エレクトロニカを結合し、その楽曲の中では大陸間の奴隷貿易からメンタルヘルスの試練までに…
Present by DOG DAY Seth SmithとNancy Urichはお互いを深く刺激し合っているクリエイティヴなカップルである。故郷であるハリファックス出身の最も愛されているインディー・ロック・バンドの一つ=Dog Dayを結成するだけではなく、二人はここ10年の間にホラ…
Part 15: 60位〜51位 50. Grimes: Visions (2012) Claire BoucherがGrimesとして発表した最初の2枚は、彼女のポップ的本能を実験的操作の奥底に沈めてしまっていた。3作目となる『Visions』は新たに解き放たれた才能とそれを使いこなすことへの興奮できらめ…
INNUENDO by Abyss X クレタ島出身のプロデューサーでシンガーでもあるAbyss Xは、このデビュー・フル・アルバム『INNUENDO』において、一連のダークで、断片のようなランドスケープの上にその堂々とした弾性のあるヴォーカルを塗りつけている。彼女はこれま…
さて、始まってしまったこのコーナー。初回ということで、このコーナーは何を目的として、誰のために書かれるものなのかを明らかにしておきたい。 基本的に、これはぼくが「週に1度、音楽についてのまとまった文章を書く」ことを目標に始めた自己中心的な連…
Epic・1999年 文:Jeremy D. Larson 点数:8.7 急進的ラップ・ロック・バンドの3作目にして、1999年の停滞の中に産み落とされた、彼らの最も鋭い革命的演説 2000年の民主党全国大会で、クリントン大統領が基本政策演説を行おうとしていたステイプルズ・セン…
Eight Gates by Jason Molina アーティストの死後に発表される音源集で一貫性のあるアルバムを作るのは難しいことだ。パフォーマーのアーカイヴを掘り起こし、未完成の音源を取り上げて意図されて作られた作品の一部のように編曲を施す作業はまるで個人を侵…
Internal Incarceration by Year Of The Knife 孤独と内省というのは古くからある風習ではあるが、みなさんがご存知の理由によって、その精神状態は今の世界的状況と切っても切り離せないものになってしまった。もちろん何もかもがパンデミックについてとい…
Part 28: 65位〜61位 60. Future: “March Madness” (2015) www.youtube.com “March Madness” の大半では、Futureは自分の豪勢な暮らしを詳細に語っている。特にこの時期にあって、それは非常に真実らしくに聞こえた。このアトランタのラッパーは2015年、Drak…
SUNNY DAYS BLUE by SWARVY ここ10年で、Swarvyは一つのサウンドやジャンルにとどまることのない、信頼の置けるプロデューサーとなった。彼がよく知られたラップやR&Bを自身のビートにブレンドしようが、自身が作り上げたジャズやソウルを中心に添えた編曲で…
Benny the Butcher & DJ Drama Present: The Respected Sopranos by BLACK SOPRANO FAMILY Black Soprano FamilyのBenny the ButcherとDJ Dramaという組み合わせは、一聴すると興味深い提案のように聞こえる。Griseldaの一員であるBennyは、90年代イースト・…
Beauty Beyond Grief by Aladean Kheroufi Aladean Kheroufiの名はまだ広く知られていないかもしれないが、彼の音楽的な多才さは雄弁である。故郷のアルバータ州エドモントン――彼の最新のヴィデオは誇らしげにも、愛してやまないピザ屋さんで撮影されている―…
Reprise Tonight by FSQ 60年代半ば、James Brown がファンクを発明した。その後の数十年の間に、その精神はディスコ、ヒップホップ、そしてそれを越えて広く広まった。そしてその一部は Chuck ”Da Fonk” Fishman、プロデューサーの G. Koop、そして故・Sa'd…
Heart's Ease by Shirley Collins Shirley Collinsが当初40年近い沈黙を破った時、彼女は暗闇を携えていた。50年代後期から70年代の終りまでの20年間、Collinsは英国フォーク・シーン復活のスターであった。彼女の声は柔らかくも力強く、それは霧の中に差し…
Universal Beings E&F Sides by Makaya McCraven 新しいドキュメンタリー作品『Universal Beings』の中で、Makaya McCravenは彼特有のジャズのミックスの背後にある創作プロセスをこう説明している。まず、彼は様々なミュージシャンの集団と即興で生演奏をす…
Wu Hen by Kamaal Williams ロンドンを30年もの間特徴づけてきたアンダーグラウンド・ダンス・クラブ・シーン向けにジャズ・フュージョンの「フュージョン」の部分を再定義すること。それがYussef Kamaalの果たした役割であり、Kamaal Williamsはその片割れ…
TCHIC TCHIC - French Bossa Nova - 1963/1974 by various ボサノヴァが誕生したのは1958年、創始者のひとりであるブラジル人ギタリスト João Gilberto が ”Chega de Saudade” という楽曲を録音し、リオで広く有名になったのがきっかけである。「ボサ・ノヴ…
Free by Natalie Duncan この『Free』というアルバムの中で、イギリスのネオソウル・シンガー=Natalie Duncanは、ソウル、R&B、ジャズをせわしなく行き来しながら、疑い、自由、そして愛について、優雅さと美しさをもって勇気の物語を紡いている――ある時に…