<Bandcamp Album of the Day>Pom Poko, “Cheater”
Pom Pokoの音楽には爆発的な優しさがある。それはまるでPeepを電子レンジに入れるかのようだ。2019年のデビュー作『Birthday』で、このノルウェーのグループはパンチのあるノイズ・ポップと失恋についての歌詞、そして元気いっぱいなボーカルをブレンドした。それに続く作品となる『Cheater』はそれに輪をかけたような可燃性を持ち、より力強い観察眼を伴い、その曲がりくねりっぷりはよりタイトになっている。
Pom Pokoはこの『Cheater』で、構造的な革新性の才能をひけらかすことで時間を浪費などしない。1曲目の最初の1分間で、彼らは攻撃的で不安げなギターとシンガーのRagnhild Fangelによる子供じみたボーカルから、物憂げで夢見心地な状態へと移行すると、その後瞬く間に熱狂的なテンポへと駆け戻っていく。『Cheater』はこのような予想だにしないドーパミンの棘だらけの作品で、細やかなギター・ワークはSt. Vincent'sのAnnie ClarkとThe PixiesのJoey Santiagoのあいの子のようである。Martin Miguel Tonneのギターによる爆発は音的に全く冗長ではなく、盛りのついた猫がひっかくようだったり、防戦一方のバンパー・カーのように鋭角に舵を取るようだったりする。
Pom Pokoの最も輝かしい瞬間は、彼らが鋭いリフとディストーションを、より大きな悪の力と闘うために使用している点だ。”Like A Lady” で、Fangelは三十路ニストの会話をからかったあと、あえて女性らしい声でこう歌う。「優れた精神を身につけるためには/優雅で思いやりを持たなきゃね/レディーのように」。そして、ファズのかかったコーラスでは彼女の声は力とともに爆発し、Fangelは自分が白い手袋をはめた、扱いやすい社交界の女性とは全く異なるということを高らかに宣言する。「あなたの思い通りのことは何一つない」とFangelは ”Look” で固く誓っている。アルバム最後を飾る ”Body Level” では、Pom Pokoは新しい考え方がより良い展望を迎え入れるのだということを断言している。「焦点を変えれば、物事はきっとよくなる」。神経質な雰囲気がより幸せな未来に向けた興奮へと煮えだっていく。
By Margaret Farrell · November 05, 2020