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<Bandcamp Album of the Day>Jason Molina, “Eight Gates”

アーティストの死後に発表される音源集で一貫性のあるアルバムを作るのは難しいことだ。パフォーマーのアーカイヴを掘り起こし、未完成の音源を取り上げて意図されて作られた作品の一部のように編曲を施す作業はまるで個人を侵略するスキャニングのように捉えられるリスクがある。「彼らはそれを望んでいただろうか?」と。Jason Molinaのキャリア――Songs:OhiaからMagnolia Electric Co.、そしてソロ作品まで――のファンたちはこの問いに対してそれぞれ異なった意見を持つだろうが、『Eight Gates』は作者の最後の録音物がもつ未完成性に注意を払っているという点で、その存在を正当化している。美しさと素晴らしさをアーカイヴするのに、わざわざ素材を磨き上げるということは必要ないのだ、ということを思い出させてくれるかのように。

Steve Albiniをレコーディング・エンジニアに迎えたものであろうが、『Autumn Bird Songs』のような死後発表された作品であろうが、Molinaの音楽は不完全なサウンドで飾られていた。テープ・ヒスのノイズ、レコーダーのクリック音、彼のバンドが持つ生々しさ、ライヴ感、ある特定の部屋のトーン。『Eight Gates』はこれらの楽曲に、同じような思慮深さを持ってアプローチしている。アルバムの中心をなす ”She Says” はMolinaによる口の立つ冗談で始まる。テイクとテイクの間に挟まれる即席のスタジオ・ジョークは彼の不在によってダークな色合いを増している。続く ”Fire on the Rail” ではこのソングライターの声がむき出しのまま、1分間近く流れる。彼の堂々としたヴォーカルをこのような質素な形で聞くというのは注意を引く体験である。この選択におよって彼の言葉に注意が向かい、この荘厳で田園的な楽曲の痛みを強調している。これは「完成」という伝統的な定義に対する鋭い挑戦である。このような理由によって、『Eight Gates』は音楽的にも美学的にも、その他のMolinaの作品と一貫性を持っている。Molinaの楽曲をつなぎとめているのは、彼がロンドンに居る際にフィールド・レコーディングを行ったインコの鳴き声である。その録音からの抜粋がアルバム全体に散りばめられ、9つの楽曲の間に織り込まれている。早すぎる死を遂げたアーティストの永続的な印象として、つかの間の瞬間瞬間を再構成した作品にはふさわしいモチーフではないだろうか。

By Michael Rancic · August 05, 2020

Jason Molina, “Eight Gates” | Bandcamp Daily