海外音楽評論・論文紹介

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<Bandcamp Album of the Day>FSQ, “Reprise Tonight”

60年代半ば、James Brown がファンクを発明した。その後の数十年の間に、その精神はディスコ、ヒップホップ、そしてそれを越えて広く広まった。そしてその一部は Chuck ”Da Fonk” Fishman、プロデューサーの G. Koop、そして故・Sa'd ”The Hourchild” Aliによって結成され、ヴィンテージのサウンドを現代の文脈で提示することに身をささげてきたコレクティヴ=FSQの中にも受け継がれている。ヴォーカリストの Fonda Rae や Denise King、ニュー・ウェイヴのアイコン Nona Hendryx、そしてファンク・レジェンドの George Clinton を含んだオールスター・キャストとともに臨んだFSQのデビュー作『Reprise Tonight』は遊び人たちによるファンキーな音楽の記念碑である。Clintonはその耳を惹くヴォーカル・スタイルを暗く、夢幻的な ”Dancefloor Democracy” で披露している。”Peel Back” では Hendryx が傑出したパフォーマンスを見せ、この曲のバウンシーなグルーヴにパワーとカリスマをみごとに乗せている。Brown、Sly Stone、そしてClintonらのパイオニアたちが半世紀前に描いた青写真が一つ一つの音の中に感じられる:FSQは車輪を再発明しているのではなく、彼らの楽曲こそがファンクのしぶといヴァイタリティの証左なのである。ダンサブルなグルーヴと覚えやすい楽曲が詰まった宝石箱である『Reprise Tonight』はFSQがもつアップビートで消化しやすいファンクの才能を見せつけている。

By John Morrison · July 29, 2020

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