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<Bandcamp Album of the Day>Year of the Knife, “Internal Incarceration”

孤独と内省というのは古くからある風習ではあるが、みなさんがご存知の理由によって、その精神状態は今の世界的状況と切っても切り離せないものになってしまった。もちろん何もかもがパンデミックについてというわけではないが、人間の頭蓋骨にもなっている家の中に閉じ込められた何者かを描いたこのアルバム・カヴァーを見れば、それはなにも飛躍した考え方というわけでもないだろう。この世界は怒っている――Year of the Knifeはその怒りを、力強く残虐なほどのハードコア作品に注ぎ込んでいる。2019年の『Ultimate Aggression』で確立された形式に則り、彼らの最新作は同じ怒りを、よりザラザラとしていてよりラウドな唸り声を、モッシュピットに油を注ぐようなHarms Wayにも似たミックスの中に放り込んでいる。Year of the KnifeはGodfleshの教会の熱心な信徒というわけではないかもしれないが、そこにいくばくかの貢献と熱心な学習を行ってきた。

Internal Incarceration』の主な強みは、その13曲の濃密で無慈悲な楽曲の中にできるだけたくさんのものを詰め込むことができる能力である。”Manipulation Artist” は猛烈に走る貨物列車のようなリフ、ツーステップのモッシュ・パート、そして首太なパームミュート・リフを3分以下で駆け抜けていく。”Nothing to Nobody” のグイグイと引っ張るようなDビートは次第に這うようなビートになり、やがて今年最良のブレイクダウンの一つへと爆発する。もしライヴが再びできるようになったとき、絶対に誰かが痛い思いをするであろう。この作品は怒りと憤怒が白熱し蒸留されたものである:一人の心と世界中全体が激しく揺れ動いているサウンドだ。

By Robert Newsome · August 04, 2020

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