<Bandcamp Album Of The Day>Angel-Ho, “Woman Call”
Angel-Hoの2作目『Woman Call』は彼女のこれまでで最も強力なポップ・ステートメントであり、そのサウンドは彼女の特徴である行き過ぎた実験的要素を保ちながら、推進力のあるビートまで削ぎ落とされている。彼女はハウス、ダンス、エレクトロニック・ミュージックのクィア・ヒストリーからインスピレーションを得て、カメラ(実在のか想像上のかに関わらず)が一挙手一投足を追いかけている間に「リネンとレースを着た面々」のための楽曲を作り上げた。
これは彼女のNON Recordsの作品からの進化である:これらの粗削りで断片的な食のリリースは、割れたガラス、弾丸、工業機械などの階層ごとにズタ切りにされていて、南アフリカのケープタウンで生まれ育った若い黒人アーティストとして見てきたり経験してきたりした人種差別について語っている。その背景に対して、アルバムがもつ自信とトランスフェミニンのエンパワーメントというテーマは意欲的なだけでなく、政治的であった。「私は贅沢を富としてみていない」と彼女は2019年のインタヴューで語っている。そうではなく、「自分自身や自分の中にある表現の感覚によって作られたもの」が富であるーまるで写真撮影のために黒いゴミ袋を体に巻き付け、インスタグラムのフォロワーたちに「スターになるのにお金は必要ない」と思い出させたときのように。
エネルギーたっぷりの1曲目“Fame”は“Muse to You”の歌詞をリミックスしファッションの未来的な世界に我々をいざなう。Valerioはロボットのようにチャントしたかと思うとラップし、そして我々をおだてて「カメラのために働いて、ダーリン」と誘惑する調子の猫なで声で訴える。“Spell On You”では彼女の声は「パイのように甘く」、ブルースマン・Screamin ' Jay Hawkinsの有名なセリフをファンキーなベースとアナログなサックスの上で組み直している。セルフ・プロデュースによるトラックの幅は彼女の才能の幅広さを示している。“Rewind”ではスネアとベース・ドラムが背景で響いている中彼女の堂々とした声がセンター・ステージに立ち、構造よりもテクスチャを優先している。それに対して、“Golden”は泡立つようなビッグ・バンド・ファンタジーであり、ホーンのシンセサイズされたひと刺しとうっとりさせるようなアナウンスメントで始まる:「Angel-Hoバンドへようこそ!この贅沢な演奏をお届けできることを嬉しく思います」
Valerioの言葉の選び方は、彼女の作品全体に見られるボールルーム文化への目配せの一つとして、ニューヨークが拠点のHouse of Xtravaganzaを参照している。Hyperdubからリリースされたデビュー作『Death Becomes Her』の楽曲“Pose”のヴィデオの中で、メイクアップ・ブラシのタップによってデジタル・ヘッド・ディスプレイが起動される。それは彼女が体現することを選んだ美しさは単なるパフォーマンスだけではないということのリマインダーである:それは彼女が世界を見るときに用いるレンズなのである。
By Lorena Cupcake · April 20, 2020