Weekly Music Review #65: Courtney Barnett『Things Take Time, Take Time』
コートニー・バーネットの「Things Take Time, Take Time」をApple Musicで
Things Take Time, Take Time - Album by Courtney Barnett | Spotify
うーん。フジロックで観たときはとにかく超カッコいいロッカー、というイメージだったのだけれどなあ。3作目となるこの『Things Take Time, Take Time』はリズム・マシンを使ったり、ラウドなギターの感じもほぼ封印(ローファイさはそのままに)。有り体に言えば地味な作品。
「シンプルな音にしたかった」というのは(特に)最近のアーティストのインタヴューでよく見る決り文句だ。しかも大体そういう人って3枚目のタイミングな気がする。でもそろそろそういう時期も終わるような気がしていて、ここから1〜2年はとにかく「過剰」なものが流行るムードがあり(ハイパーポップにレイジ・ビート)かなり残酷な言い方をすれば彼女の役目も一段落、といったところだろうか。少なくともデビュー当時ほどの熱気を持って迎えられる感じではなくなってきているのかも。まあ、ライブができないという環境も彼女のようなアーティストがシーンでプレゼンスを発揮する障害になっているような感じもあるしな…ロックにはどんどん逆風が吹いているね。まあ、そのうちまた戻ってくるよ、ロックの復権!5年後くらいに。でもその頃にはみんなこういう作風になっていたりして。
一番好きだったのはこの曲かな。制作期間中にパートナーとの別離を経験したという彼女の経験が下敷きになっているであろう、喧嘩と別れについての曲。「誰が悪かったか、ということはわからないまま」「あなたになにか起こったら、あなたが最後に聞いた言葉はいじわるじゃないものだといいな」という優しさに満ちた曲。「You don't have to slam the door(=ドアをバタンと閉める必要はない)」というフレーズがあって、たまたまツイッターか何かで見て「良いタイトルだな」と思ったダウ90000・蓮見などが出演するトークライブ「起こってる閉め方になった」を思い出したりした。特にそのライブを見たとかではないのだけれど。