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Weekly Music Review #63: Ed Sheeran "="

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エド・シーランの「=」をApple Musicで

= - Album by Ed Sheeran | Spotify

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運命的な出会いをした女性との恋路を過剰な演出で描く。エルトン・ジョン風の衣装をまとうシーンも。最後は中世の騎士に変身するも、ヘタレなオレっち、というオチ。

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ヴァンパイアに変身したエド・シーラン。怪物仲間たちと夜の街で大暴れ。雰囲気だけのアメコミ映画みたいな趣。事実、カオスに陥った街で一人はでなスーツを着て踊るシーンは『ジョーカー』からの着想か。

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ツアー中にツアーバスに乗り遅れてしまったシーランくんが、色んな人達と一緒に不思議な旅をする。ヒッピー崩れの若者、真夜中の山奥で行われる奇祭、渋いおじさんたちのバイカーたち、どれも純然たるクリシェ。最後には謎の力士が登場し、めちゃくちゃダサい日本語版 “Shape of You” が流れておしまい。は?

今作のミュージック・ビデオがどれもこれも致命的にダサく、つまらなく、意味がわからない。Creepy Nutsにも言いたいことだけど、ミュージック・ビデオの中で改めて「自分役」を演じるのってもうマジで面白くないからやめて欲しい。

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こういうのとか、マジでやめてって思う。つまんね〜〜〜〜〜〜〜〜

「自分役」で思い出したけど映画『イエスタデイ』でのエド・シーランは結構良かったね。現役の人気ミュージシャンがわざわざ「負け役」で出るってすごいけど、それもビートルズの楽曲の凄さがなせる技だよな、って思ったりして。

この映画『イエスタデイ』では、ビートルズがいなかった平行世界に来てしまった主人公(=売れないミュージシャン)が、記憶を頼りにビートルズの楽曲を自分の作品として発表し、世界的なミュージシャンになっていく…というお話。その中で主人公は、メジャー・レーベルの世界的スターにつきものである「創造上の自由の制約」と直面することになる。『ホワイト・アルバム』というタイトルじゃ売れるわけがない、とか言われて、会議で意味のわからない方向性で売り出されそうになるなど、本人の才能以外にもミュージシャンの成功の要因ってたくさんあるよなあと思わされる映画でもあった。

で、思うに今のエド・シーランってまさにそんな状況なんじゃないの、って思ってしまう。一言でいうとオーバープロデュース、やりすぎやりすぎ。だからといって削ぎ落としていったらいい音楽になるかと言われると、そんな本質が彼に宿っているのか、それすらよくわからなくなっている。

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これは、エド・シーランが大の猫好きであることから実現。TikTokにて『=(イコールズ)』収録曲である「Bad Habits」を使い、ハッシュタグ「#エドシーニャン」をつけて猫の動画を投稿するだけで参加となります。

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つまりこういう施策を組まれるようになったらアーティストは終わりなんです。サイテー。

え、曲の話?全部つまんねーからしねーよ。