海外音楽評論・論文紹介

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<Bandcamp Album of the Day>Sneaks, “Happy Birthday”

Sneaksとして知られてるワシントンD.C.を拠点とするアーティスト=Eva Moolchanは最新作からのリード・シングル “Mars in Virgo” の中でこう歌っている。“I’ve changed a lot now I’m all grown and I got to grow up some more.(私はだいぶ変わったし、成長した。もっともっと成長しなきゃ)”。このラインは星座の位置――火星がおとめ座に位置している時に生まれた人は、何事かを成し遂げることに長けているという占星術――、そしてMoolchanがこの5年間に経験したアーティストとしての変化、その療法について正しいことを言っている。彼女のデビューEP『Gymnastics』は大半がベースとドラム・マシーンで作られたものだった。2016年のそのリリースから、Moolchanはそのサウンドの魅力であるゴツゴツとした粗雑さを失うことなく、そこにクラブ的な装飾と現代的なラップ・ヴォーカルを縫い付けた。

『Happy Birthday』では見事なエレクトロクラッシュ(“Do You Want to Go Out to Not”)から酩酊感のあるダンス・パンク(“Faith”)まで、更に広く枝を広げている。彼女はライオット・ガール風のスポークンワードに駆動力のあるリフを混ぜ合わせ、Bonecrusherの “Never Scared” におけるAvery Johnsonのプロダクションや、ジメジメしたダークウェーヴを思い出させる。それこそがSneaksの音楽を中毒性のあるものにしている要因である。彼女のサウンドは彼女が魅力的に感じたもので構成されていて、それこそが昔のパーティーの精神である。

By Claire Lobenfeld · August 18, 2020

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