<Bandcamp Album of the Day>Divide and Dissolve, “Gas Lit”
Takiaya ReedとSylvie Nehillは言葉をすりつぶしたりはしない。それどころか、彼らは言葉自体使うことがない。彼らが選んだドローン・メタルという表現方法は、明確なステートメントを発話するのには向いていない――その内容が、起伏のあるフィードバックの波という形で形成されない限りは。それでも、一つだけはっきりとわかることがある:彼らは幸せではないのだ。長い歴史の中で発表されてきたプロテスト・ミュージックと同じように、これを聞いているあなたは、彼らが一体何を言おうとしているのかということを知るために、彼らが何について不平不満を述べているのかを実際のところ知る必要はない(もちろん、植民地主義、白人至上主義、ジェノサイドなど、そういった音楽が明確にターゲットにしてきたものはそれに値するものではあるが)。
これは醜い主題についての、醜い音楽である――しかしそれは美しい目的を持っている。Divide and Dissolveとして、ReedとNehillの二人は彼らの正当な怒りを、ドローン・ギターとフィードバックの音と、ネオクラシカルな作曲とヘヴィーなドゥームというユニークな化学反応を用いてアンプを破壊せんばかりの原初の叫びに変えていく。Unknown Mortal OrchestraのRuban Neilsonは意外なコラボレーターかもしれないが、彼のプロダクションはこれらの不協和音が急所に的中するために必要なブーストを与えている。2018年の『Abomination』と比べると、例えばファズの音なんかはずっとたくましさを増している。このように迫力を増したサウンドによって、リスナーたちは“Denial” や “It’s Really Complicated” といった楽曲に何か共通した雰囲気を感じ取ることができる。テンポの変化や、あるいは彼らがノイズを説き伏せて形を変えていくやり方(そのほとんどがわかりやすく提示される)でさえも、この二人が編んでいくインストゥルメンタルのナラティヴを紐解くのに一役買っている。そして “Did You Have Something To Do With It” で実際に言葉が発されるときでさえ、それはMinori Sanchiz-Fungによる詩の朗読に、ほとんどアンビエントのようなバッキングがついているに過ぎない。それが言葉であれ音楽であれ、Divide and Dissolveの二人はそのメッセージに焦点が残存することを求めている。そのことだけははっきりと伝えている。
By Jeff Treppel · January 29, 2021