海外音楽評論・論文紹介

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<Bandcamp Album of the Day>Zara McFarlane, “Songs Of An Unknown Tongue”

UKのジャズ・シンガーZara McFarlaneは彼女の最新作『Songs From An Unknown Tongue』の一曲目 “Everything is Connected” で、人生という広大な蜘蛛の巣を探索している。“The branches that reach out to grab you/ Interweaving through/ Sacred moments/ Intertwining through your hopes and dreams(つかもうとこちらに手を伸ばしてくる枝/神聖な瞬間を/織りなして/夢と希望を織り合わせる)” と彼女は歌う。転がるような、レゲエにルーツを持つドラムとベースのグルーヴがMcFarlaneのヴォーカルに重みを与え、この曲は形而上学的なものを探求する、美しく作られた楽曲である。そしてそれは、あとに続くものの手短な要約でもある:McFarlaneの作品は、Andy BeyLeon ThomasJune Tysonといった、非常にスピリチュアルで宇宙的なマインドを持ったジャズ・ヴォーカリストたちの連続体の中に存在している。“My Story” は美しいヴォーカル・ハーモニー、ベース、パーカッションを持った楽曲であるが、これらの要素の中、McFarlaneは聴き手を勝利と自己発見の旅路へと誘い、 “As we turn, we turn the pages, we have to tell a brand new story.(ページをめくる、そのたびに私達は新しいお話を語らなければならない)” と思い出させる。

スペーシーなシンセと深いベースライン、そしてユートプア的な雰囲気を持つ “State Of Mind” は、ゼロ年代ロンドンのビート/フューチャー・ジャズサウンドに似たスタイルを聴かせる:膨らんだシンセのコードが曲を始めると、McFarlaneがダイナミックなヴォーカル・メロディで入ってきて、“You’ve got me caught in your rhythm(あなたのリズムに夢中にさせられた)” と歌う。7分半近くある “Roots Of Freedom” は荘厳で宇宙的な響きのあるブラスのファンファーレで始まる。そしてベースが強調されたグルーヴに突入するとMcFarlaneが祖先や進化について瞑想するためのステージが用意される。ジャズ、レゲエ、そして種々のアフリカン・ディアスポラ音楽の間の点をつなぎ合わせ、『Songs From An Unknown Tongue』は歓喜に満ちた音楽的舞台の深遠な真実を伝えている。

By John Morrison · July 13, 2020

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