<Bandcamp Album of the Day>Groupe RTD, “The Dancing Devils of Djibouti”
Ostinato Recordsの創設者Vik Sohonieは、その東アフリカの小さな国の知られざる音楽的遺産に光を当てようと思い、ジブチを旅した。レーベルにとって天啓となった2017年の『Sweet as Broken Dates』でソマリアの音楽に光を当てたように。しかしその代わりに、彼はジブチ国営メディア、Radiodiffusion-Télévision Djiboutiのハウス・バンドを務める現役のバンド、Groupe RTDの録音をすることになった。『The Dancing Devils of Djibouti』はこの9人組のいわば“残業”、激しく自由な演奏を捉えている。
国民は100万未満であるジブチは地理的にはエチオピアと比べても劣るが、Groupe RTDのリズムはエチオピアの1970年代のノリノリのグルーヴに影響を受けている。Abdirazak Hagi Sufiのギターサウンドはレゲエから多大な影響を受けているし、シンガーのAsma OmarとHassan Omar Housseinのヴォーカルは感情を誇張した“アラブ風ボリウッド”といった風情で、Housseinは“Uurkan Kaadonaya (I Want You)”の途中でアクション映画のような騒ぎを巻き起こす。RTDにはMohamed Abdiというサックス・ヒーローがいて、“Alto's Interlude”ではエチオ・ジャズ風のインスト・パートを楽しんで吹いている。この曲ではドゥンベック奏者がドラマーであるOmar Farah Housseinのパーカッションに伝統的な雰囲気を付け足している。
目からウロコの大発見、たいへん楽しんで聞くことのできる『The Dancing Devils of Djibouti』はSohonieの当初の目的に反して、今後の展開が楽しみになるような一枚である。Ostinato初のオリジナル・スタジオ録音作品を聴いたいま、混ざりっ気のない楽観主義のようなものがこれからどんどん出てくるのではないかと期待せずにはいられない。
By Richard Gehr · June 11, 2020