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<Bandcamp Album of the Day>Angela Munoz, “Adrian Younge presents Angela Munoz Introspection”

Angela Munozは驚くべき声の持ち主だ。青々しい率直さと老練な知恵が拮抗しているのだ。彼女のデビュー・アルバムである『Introspection』は多才な音楽家であり長年にわたってL.A.の音楽シーンを支えてきた支柱であるAdrian Youngeとの共作であり、この18歳のシンガーは上記の二つの側面を優雅に実演して見せている。

アルバムに収録されている9つの楽曲の中で、YoungeはMunozの広大さと親密さを行き来する声のための背景を作り上げている。1曲目”Don't Show It”では、MunozはYoungeによる、渦を巻くようなストリングスとドラムの編曲に声を注ぎ込んでいく。”I'm in Love”では、彼女は純粋さ若さゆえの活気とともに、恥ずかしげもなく好意を明らかにする。”Top Down”での圧倒的なヴォーカル・パフォーマンスはこのすべすべとしたドリーミーな曲に深みを与えていて、さらに最後の”So Young”では彼女が感情とこれから進むべき道について思い悩んでいる痛みが、音となって伝わってくるかのようだ。

Youngeによるゆったりとしたホーンやストリングスは、Munozが思う存分その広がりのある声で埋め尽くすためのスペースを十分に残している。『Introspection』は若さや愛の興奮を映し出したムードを集めた、まばゆい限りに広がっていくコレクションである。

By Tara C. Mahadevan · June 23, 2020