<Bandcamp Album Of The Day>Brownout, “Berlin Sessions”
Brownoutは多芸なバンドの典型であり、特異でありながら無節操でもある。テキサスはオースティン出身の9人編成のラテン・ファンク集団である彼らはカバー曲の強力さによって全国的な注目を集めた:彼らは『Brown Sabbath』においてBlack Sabbathのドゥーム〜プロト・スラッジ・メタルをアシッドにディップし、ヘヴィーなブラスによってサイケデリックな再解釈を付け加えた。2018年の『Fear of a Brown Planet』ではBomb SquadがPublic Enemyのために制作したサウンドの壁の中に埋め込まれたファンク・グルーヴを掘り出してみせた。
この『Berlin Sessions』は2012年の『Oozy』以来となるオリジナル作であり、Alex Marrero(『Brown Sabbath』でも歌っている)加入後初でもある。そして、Brownoutの特徴であるラテン・ファンク/ソウルとサイケ・ロックの融合がオリジナルの作曲でも同じように機能することを再確認している作品と言える。『Berlin Sessions』は、MaloやWarがヒップホップを聴いて育ったらこういうサウンドになっていただろう、と思わせる。その例として:1曲めの“Somewhere To Go”では叩きつけるようなブーム・バップ風のビートと鳴り響くホーンの下で鼻声のブルース・ギターが呻く。“The Zealot”では間違いようもないほどにSabbathの影を感じ取ることができるが、『Berlin Sessions』はまたこれまでに到達したことのない領域にも足を伸ばしている。“Upon This Rock”は初期Maxwellを彼ら流に解釈したように思えるし、ボーナス曲“West Coast”での、脳震盪を起こすようなドラムによって強調され、南西部風のサイケなリフによって叩きつけられる分厚く弾性のあるベースは、テキサスの赤茶けた砂道を弾みながら進むローライダーを音に起こしたかのようである。作品を通して―特に“Nain”では―Marreroの確かなヴォーカルとソングライティングがバンドの拡張されたグルーヴを補って余りある。
By Max Bell · March 09, 2020