海外音楽評論・論文紹介

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<Bandcamp Album of the Day>Seba Kaapstad, “Konke”

Konke』は南アフリカR&Bカルテット=Seba Kaapstadによる印象的な2作目だ。ボーカリストのZoe ModigaとNdumiso Mananaに導かれるこのアルバムはリッチで熱のこもった、現代の人生と多くの心にまつわる複雑な問題についての思索である。巧みに書かれた楽曲とゴージャスなアレンジによって、『Konke』はBrandySAULT(Liv).eの最近の作品群ともつながる、世界的なコンテンポラリー・ソウル・ミュージックの復興運動の一部となっている。

アルバムはアップビートなジャム “Our People” で幕を開ける。リズム隊がずっしりとしたベースとドラムのグルーヴと一体化し、シンプルなコーラス――「私達は人々を愛する、なぜなら向こうも私達を愛していると知っているから」――はビッグで明るくて、心がこもっている。曲は全体的にパーティーのような雰囲気で、Quelle Chrisが控えめながらも完璧に構成されたヴァースを持ち込んでさらに盛り上げる。楽しげな “www” はいたずらっぽい現代の利便さと技術に対する批評眼を愉快で涼し気なポップ・ソウル・チューンに落とし込んでいる。このコーラスはほろ苦く皮肉が効いている:「WiFi、それが私の人生をいい方向に変えてくれたのは知ってる/それは事実だと思う/もっと他にできることはある?」大胆な色彩で彩られ、頭を揺らすグルーヴとジャジーな装飾によって重みを増している『Konke』の収録曲はどれも精鋭である。

“Please” のミニマルでエレクトロニックなグルーヴから “The Kingdom” のメランコリーなコードがストリングスのうねりへと変わり、ピアノが心を打つコーダへと戻っていくさまに至るまで、『Konke』はソウル・ミュージックが2020年も健在であるということを再び、美しく宣言している。

By John Morrison · November 18, 2020

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