海外音楽評論・論文紹介

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<Bandcamp Album of the Day>Makgona Tsohle Band, “Makgona Tsohle Reggi”

イギリスのレーベル=Umsakazo Records南アフリカサウンドを称賛する試みを続けており、このたび、Makgona Tsohle Bandが1970年にリリースした初期のヒット作『Makgona Tsohle Reggi』のリイシューに踏み切った。個々のメンバーたちは、1960年代前半にプレトリアから音楽業界での仕事を求めてヨハネスブルクにやってきた出稼ぎ労働者やストリート・ミュージシャンであった。1964年に彼らはめいめい、伝説的プロデューサー=Rupert ”Bops” Bopape 率いるGallo Record Companyの「ブラック・ミュージック」部門であるMavuthelaのオーディションを受けた。Makgona Tsohle Band――字義通りの意味は「何でもできるバンド」――の誕生である。

そうして集められた5人組は南アフリカで最も人気で多才なグループとなり、MahlathiniやMahotella Queensらと定期的にツアーを回ったり、自身のヒット曲も何曲か手掛けるようになった。『Makgona Tsohle Reggi』に収められた12曲(いくつかは違う名義でクレジットされている)は、このミュージシャンたちがいとも簡単に多様なスタイルを行き来する能力の持ち主であることを示している:1曲目の ”Bajikise Bops” はベース、ドラム、オルガンと共に50年代風のロックンロール・ギターが鳴らされるが、”Marks Reggi” ではスカ風のリフを聴くことができる。古いものと新しいもの、田舎と都会、伝統的なものとエレクトリックな音像を掛け合わせることで、Makgona Tsohleはアパルトヘイト時代の南アフリカのブラック・コミュニティにおいて最も強力で、アパルトヘイトの解体のサウンドトラックとなっていくンバカンガ音楽にとって決定的な存在となったのである。

By Megan Iacobini de Fazio · January 06, 2021

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