<Bandcamp Album of the Day>Spirit Adrift, “Enlightened In Eternity”
ヘヴィ・メタルに極めて特有である勝ち誇るような輝きは、時にこのジャンルのダークな領域の持つ広大な影によって隠されてしまうことがある――デス、ドゥーム、グラインド、フューネラル・ドゥームといった名前がついたものの中に贖罪を空想するのは気が滅入る。しかしメタルというものは失望を見下ろすことであり、それに飲み込まれてしまう前に押し返すことを目的としている。4作目にして最高傑作である『Enlightened In Eternity』において、二人組のSpirit Adriftはメタルの半世紀にも渡る想像力の強さを証明する8つの証を手に、うす暗い片隅から大きな一歩を踏み出した。彼らの感情が乗ったリフは鋭く、リフレインは力強く、平和をたたえ、権力を攻撃する。Nate Garretは「痛みよりも強くあれ」と作品の中でも最も鼓舞してくれるコーラスの中で叫び、このメタルヘッドのヨガ行者はその超越性を獰猛な声に乗せている。
Spirit Adriftはこれまでも常にこのような尊厳を持っていた。ネオンのように輝くギターのリード、弧を描くドラムライン、そしてプログレに影響を受けた荘厳さ。しかしこれまでの彼らはそれを実存の内実を描くのに使っていた――昨年の『Divided By Darkness』は死や喪失の不可避性を憂い、2017年の『Curse of Conception』は社会が誤謬に陥ってしまうことについて思い悩んでいた。彼らの初期3作は、まるで自分たちの厄介な考え事の重さに屈してしまうかのようにドゥームの領域へとダウンシフトすることも多かった。
しかし『Enlightened In Eternity』は1曲目の “Ride Into The Light” の輝かしい最初の数小節から最後の “Reunited In The Void” のフィナーレを飾る花火大会のようなソロに至るまで、全て高揚感に満ちている。Spirit Adriftはここで、Megadethのアクロバティックなスラッシュ、Judas Priestの全能なストンプ、そしてPink Floydの至福の手触りといったクラシックな試金石を呼び出している。しかし彼らはこう言った影響源に確固たる信念と熱意を持って屈することで、今まさに毎秒時を刻んでいる時計のような「現在感」を感じさせる。「俺は週末の時に生まれた/1ミリ秒で10億年が過ぎ去っていく」容赦ない “Harmony Of The Spheres” の最後のヴァースでGarrettは、我々が引き起こした混沌とした事態についてこう言う。これは前に進むためのよりよい方法を探したり、より賢い選択をすることについてのアンセムである。Spirit Adriftはこのようなヴィランから英雄への変身を遂げたことで、この素晴らしい瞬間を生み出したのである。
By Grayson Haver Currin · October 26, 2020