海外音楽評論・論文紹介

音楽に関するレビューや学術論文の和訳、紹介をするブログです。

<Bandcamp Album of the Day>Leyla McCalla, “Vari​-​Colored Songs: A Tribute to Langston Hughes”

クラシックとフォークのソングライター/マルチ楽器奏者のLeyla McCallaはこの『Vari-Colored Songs』の楽曲を、ハーレム・ルネッサンスの巨人=Langston Hughesの作品の中から特に強力な作品を中心にして作り上げた。その結果出来上がったこのアルバムは美しさと真実、そして癒し――社会的・政治的不安と死が広がっている今年にあっては特に重要なトピックだ――にまつわる愛おしい作品となった。2014年に数量限定でリリースされ、今回Smithsonian Folkwaysから再リリースされる『Vari-Colored Songs』は、過去と現在のアーティストの間で交わされる、未来を照らす会話であり、魂の安らぎの場所である。

McCallaの声には軽妙なタッチがあり――歌詞のフレーズは彼女の下の上に華麗に舞い降りるのだ――バンジョーの魅惑的なメロディも相まって “Mèsi Bondye” を柔らかくかつ豪勢にしている一方で、チェロが導入される ”Girl” では南部ゴシックの物語特有の感覚や空間を与えている。悲壮感漂う “Kamèn sa w fè?” はリズミックで、柔らかなバンジョーの弦がリスナーをハイチの島へといざなう(McCallaの家系はハイチの出身であり、彼はハイチ・クレオールと英語で歌っている)。そして “Song for a Dark Girl” は生々しく心を打つ。 “As I Grew Older/Dreamer” の「私は夢を見続ける」という一行(Hugheの詩『I Continue to Dream』からとられている)は、現在も続く暴力、搾取、そして暴力的な制度的抑圧の日々にあって、いまだに有効性を持っている。過去と未来の両方を見つめながら、『Vari-Colored Songs』はMcCallaの声の中の詩、そしてHughesの言葉の中にある音楽を見つけ出している、そんな作品である。

By Chaka V. Grier · October 14, 2020

daily.bandcamp.com