海外音楽評論・論文紹介

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<Bandcamp Album of the Day>Skeleton, “Skeleton”

パンデミックが起こるまでの間、オースティンの三人組=Skeleton――ドラマー/ヴォーカリストのVictor Ziolkowski、彼の兄弟でギターのDavid、そしてベーシストのCody Combs――はプリミティヴなスラッシュ・メタルとファースト・ウェーヴ・ブラック・メタルを融和しテキサス特有の強烈さを加えたそのサウンドで、ダウンタウンのバーやDIYスペースを恐怖に陥れていた。しかしいくつかのライヴ映像と熱心な地元のファンたちによるインスタグラムのストーリーを除いては、彼らの蛮行の記録は殆ど残されていなかった。実際にこの目で見ない限り、彼らの存在は実際には神話じみていて、地元の人々の血の誓いを立てなければならないようなバンドだった。そして今、Skeletonのセルフタイトルデビュー作は、このオースティンのメタルパンクスがここ数年で知られるようになった勢いをそのままそっくり記録している。

ブラック・メタル譲りのダークさが作品に散見されるが、クラシック・メタルによる支配がそれを活気づけている。1曲目は素晴らしい入り口であり、自分たちのデビュー作で自分たちのバンド名への言及をするというアイコニックなスラッシュ・メタル・バンドたちの仲間入りを果たすのに恥じないクオリティである。“Mark of Death” ではSkeletonはMotörheadの “Overkill” とつながり、Victorはあの名曲の象徴的なダブル・ベースによるイントロを思い出させてくれる。熱意にかけることがない一方で、Skeletonのパンク的バックグラウンドは、彼らがリフや歌詞を遠回しに表現することはない、ということを意味している。そしてDavidは、具体的な感情をギターで伝えることに特に長けている。彼のリフからは退屈も勝利も、説得力たっぷりに伝わってくる。特に “Ring of Fire” ではCeltic Frost風のミッド・テンポ・ストンプに悲哀に満ちたドゥーム風の光沢を付け加えている。“The Sword” ではDavidによるうす暗いイントロが恐怖を語ったのち、やがて陽気なヴァースでは勝利を追い求めて未知の領域に飛び込んでいく恐れ知らずさを伝える。Iron AgePower Tripといったテキサス仲間たちのように、Skeletonは全てに全力で攻撃を仕掛けている。彼らは80年代の精神を完ぺきにとらえているが、決して懐古主義の寄せ集めのように聴こえることはない。

By Andy O’Connor · July 07, 2020

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