海外音楽評論・論文紹介

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<Bandcamp Album of the Day>Jake Blount, “Spider Tales”

このデビュー・アルバム『Spider Tales』で、バンジョー奏者、シンガー、フィドル奏者でありアメリカ音楽研究家であるJake Blountはブルース、ブラック・アパラチアン音楽の豊かな歴史を深く掘り下げている。アルバムはBlountの催眠作用のあるバンジョーピッキングの技術に焦点を当てた沈鬱なインストゥルメンタル曲から始まる。才能に恵まれたシンガーであるBlountによる“Where Did You Sleep Last Night”はLeadbellyのスタンダードに新たな息吹を吹き込み、さすらいの恋人が原因の心痛と苦しみを器用に描写する。“Blackbird Says To The Crow”が始まるとトーンは劇的に変化する。Tatiana Hargreaveによるフィドルの演奏は凄まじく、速く、踊れるようなテンポである。この曲は初期のブラック・アメリカーナ音楽の形式の核に横たわっている、純粋な楽しみと楽観主義の感覚を我々に伝えてくれる。カントリー、ブルース、ブルーグラス、そしてそれ以降、と『Spider Tales』は多くのブラック・ミュージックの縦糸をシームレスに結びつけ、これらのジャンルは結びついていて共通の祖先をもっているということを実践をもって示している。アルバムのタイトルはアフリカン・アメリカンやアフロ・カリビアンの神話によく登場するいたずら好きの蜘蛛、アナンシにまつわる古代ガーナの民話から取られている。『Spider Tales』で、Blountはアメリカーナ・フォーク・ミュージックの中に息づいているアフリカン・ディアスポラ文化の連続体について語っているのだ。

By John Morrison · May 29, 2020

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