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<Bandcamp Album Of The Day>Siti Muharam, “Siti of Unguja”

ザンジバルのシンガー・Siti Muharamはタアラブ音楽のレジェンド、Siti Binti Saadのひ孫娘である。「タアラブの母」として知られるSaadは、当時女性が公の場で演奏することが不適切だとされていたことから音楽業界に参入できなかったタアラブ共同体の女性たちを妨げていた文化的カーテンを取り払った。アラブ、インド、そして東アフリカの先住民たちの音楽的伝統の要素をかけ合わせて生まれたジャンルであるタアラブはそのサウンドも演奏も極めて独特である。彼女の新作『Siti of Unguja』で、Muharamはその伝統的なルーツに根ざしながらも現代性にも足を踏み入れた、半ばトランスへの導入のような高揚感のあるアルバムを作り上げた。

心に焼き付いて離れないインスト“Machozi ya Huba(恋の涙)”は海に浮かぶダウ船のように浮いたり沈んだりするベースとビートで催眠へと誘い、ウードの鋭い音は波のように表面に浮き出てくる。“Sikitiko(悲しみ)”ではMuharamはくつろいだゆっくりとした調子で歌い、嫌々ながら感と後悔をほのめかしている。この曲は「あなたに悲しみを置いて行く。私は遠くへ、遠くへ行きますから」と繰り返す、物悲しい集団の合唱によって強調される眠たげな音で始まる。“Alaminadura(因果応報)”には警告のようなトーンがある。「夜の雨は痕跡を残さない;月が昇り太陽が沈み、この行ったり来たりの愛はいつか私達を傷つけるだろう」曲の中盤で歌唱が止み、その語りはめまいがするほどのインストゥルメンテーションの列によって進められる。『Siti of Unguja』で、Muharamは自身をSaadから脈々と続く血統にガッチリと固定し、国外では殆ど聞かれることのないザンジバル音楽様式を守っていくと決意している。

By Sylvia Ilahuka · April 15, 2020

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