<Bandcamp Album Of The Day>Porridge Radio, “Every Bad”
ブライトンのグループ、Porridge Radioによる2作目の序盤に収録されている“Don't Ask Me Twice”でリード・ヴォーカリストのDana Margolinは「自分が何を欲しているかわからない、でも自分が何を欲しているかわかってるんだ」と歌う。これはこの作品全体の主張を要約したものでもある:『Every Bad』は優柔不断であること、両極端の間で揺れ動くこと、矛盾した思考に取り組むことのドキュメントである。Margolinはこれらの緊張状態を歪んだパワー・コードや目の澄んだドリーム・ポップ、そしてとぐろを巻くようなミッドテンポのポスト・パンクに乗せて吐き出していく。
このグループの最大の強みは、神経質で落ち着いた状態から耳をつんざくようなヴォリュームへと、そしてMargolinの歌詞も相容れない衝動の間を揺れるように、急旋回を着ることができる能力である。“Long”の抑制されたオープニングでMargolinはおとなしいギターの上で「君は私の時間を無駄にしている」と宣言する。曲が嵐のような歪んだコードによって切り裂かれるとMargolinは話を転覆させ「私が君の時間を無駄にしている、私は何もかもを無駄にしているんだ」と泣き叫ぶ。“Sweet”における動〜静〜動のダイナミクスは『Rid of Me』時代のPJ Harveyを想起させ、Margolinは「私に会えばきっと気に入るはず、恋にだって落ちるかもしれない」と繰り返す。自分が「神経崩壊」になっているというヴァースのあとに歌われるこのラインはまるで彼女が自分自身をまず納得させようとしているように聞こえる。
このような行ったり来たりはアルバムの幕引きに近い“Lilac”で着地点を見る。ここでMargolinの強烈な自己評価の背後にある思考が明らかになる:「苦い思いはしたくない/ただより良くなっていきたい/自分やお互いにより優しくなりたい」と彼女が歌えば、その後ろで曲も膨れ上がっていく。『Every Bad』の目指すゴールは癒やしである:苦しみはそこに向かう過程なのだ。
By Max Freedman · March 17, 2020